佳純 女子54大会ぶり3冠、17戦全勝に涙「苦しい1週間だった」

[ 2015年1月19日 05:30 ]

全日本卓球選手権女子シングルス決勝で森薗を破って優勝した石川がコートで涙ぐむ

卓球全日本選手権最終日

(1月18日 東京体育館)
 女子シングルス決勝で石川佳純(21=全農)が森薗美咲(22=日立化成)を4―1で下し、2年連続3回目の頂点に輝いた。同ダブルス、混合ダブルスも制し、女子選手としては山泉(現姓伊藤)和子以来、54大会ぶり2人目の3冠を達成。男子シングルスは水谷隼(25=ビーコン・ラボ)が神巧也(21=明大)にストレート勝ちし、2年連続7回目の優勝を決めた。

 涙をこらえきれなかった。「本当に苦しい1週間だった。思った以上に苦しい試合の連続で、でも何とか乗り越えられた」と石川は声を詰まらせた。女子シングルス、同ダブルス、混合ダブルスと全17試合を勝ち抜き「一度も負けなかったことが大きな自信になる。強い選手に勝つことも大事だけど、自分と(実力が)同じ、少し下の選手に負けないことも大事」と強調。山泉和子以来、54大会ぶりの3冠を達成し、安どの表情を見せた。

 粘り勝った。決勝の第2ゲームは森薗の強打に押され、わずか2得点。それでも「自分のペースで1点1点、自分のプレーに集中した」と第3ゲームは出だしから得意のサーブを絡めて3連続得点で盛り返した。準決勝も苦手な左利きの前田を相手に1―3とリードされたが、何とか最終ゲームに持ち込んだ。8―8から先手を取られても「厳しいなと思っていたけど負けることは考えなかった。絶対勝つと強い気持ちでいけた」と石川。3連続得点の逆転で決勝進出を決め、ここでも感極まって涙をこぼした。

 石川を支えたのは鬼の特訓だ。13年11月から元世界5位の陳莉莉コーチに師事し、勝利への執念を植え付けられた。母・久美さんが「同じ練習が苦手だった」と明かした基礎的な反復練習の繰り返し。陳コーチは石川が「もうおかしくなりそう」と音を上げても「まだ言えてるうちはできる」と立ち上がらせた。大会で「疲れた」と弱音を吐いても「ふ~ん」と聞き流し、甘い言葉を決して掛けず、逃げ道をつくらなかった。次第に効果は表れ、昨年4月に開幕した世界選手権団体戦(東京)で石川は日本を31年ぶりの決勝に導いて準優勝に貢献。同12月のワールドツアー・グランドファイナル女子シングルスを制した。現在の世界ランクは4位と日本女子最高位。その自信から攻撃のバリエーションも増え、石川は「引き出しが多くなった。苦しいところで勝つ方法を見つけられたのが成長」と明かす。

 目指すのは世界のトップ。準決勝と決勝後に2度も涙するほどの重圧に打ち勝った21歳の女王は「3冠は大きな自信になった。昨年の優勝とは違って一歩を踏み出せた。世界選手権やリオ(16年リオデジャネイロ五輪)に向けて、世界に挑戦したい」と力強い。石川がさらなる高みを目指す。

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