常幸龍 誕生日の愛息へ贈る初金星!「諦めない」執念見せた

[ 2015年1月18日 05:30 ]

日馬富士を下した常幸龍は支度部屋で笑顔

大相撲初場所7日目

(1月17日 両国国技館)
 平幕の常幸龍が横綱・日馬富士を土俵際の左突き落としで破り、逆転で初金星を獲得した。この日は長男・心絆(しんば)君の1歳の誕生日。妻・真美さん(28)と国技館に応援に駆けつけていた愛息に晴れ姿を見せた。横綱・白鵬だけが全勝を守った。
【7日目取組結果】

 勝ち名乗りを受ける常幸龍の所作はぎこちなかった。5日目の遠藤戦で痛めた右膝はテーピングで固めてある。痛いのか、うれしいのか、ぎゅっと目をつぶりながら8本の懸賞を手にした。「内容はどうあれ調子のいい横綱に勝てたのがうれしい。諦めない相撲が自分の相撲」。手負いでも常に全力。身上を土俵で体現し、満面の笑みだ。

 立ち合いから日馬富士の右のど輪で一気に押し込まれた。土俵際、何とか左足一本でこらえた。「これしかない」。苦し紛れの左突き落とし、さらに右足にすがりつく横綱を右手で払いのけた。「自分の足が出たのかと思った。どっちか分からなかった」。必死の執念が初金星をもたらした。

 2歳上の姉さん女房・真美さんに活を入れられた。5日目に日大の後輩、遠藤に4度目の対戦で初黒星を喫したうえ右膝を負傷。傷心の夫を優しくなぐさめてくれるどころか、思い切り尻を叩かれた。「へこんでる場合じゃねーよ!横綱に勝て!」。敗れた6日目の旭天鵬戦でも痛みを感じ、休場も考えたが、「全敗してもいい」と覚悟を決め、痛み止めの注射を打って土俵に上がった。
 
 この日は長男・心絆君の1歳の誕生日。場所中も風呂に入れたり、触れ合うのがいい気分転換だ。「しんば」はディズニーアニメやミュージカルで人気の「ライオンキング」の主人公であるライオンの王子と同じ名前。戦う勇気をくれる愛息が国技館へ応援に駆けつけていた。「絶対に勝ちたかった」。バースデーケーキに加え、初金星という“サプライズ”プレゼントも用意できた。

 「ミルク代も稼がないといけない。もっと番付を上げたい」。年6場所制で最速となる初土俵から所要9場所での新入幕(幕下付け出しを除く)を果たし、昨年秋場所で新小結に昇進するなど実績十分の26歳。三役復帰へ。愛する家族のためにも、お父ちゃんはもっと頑張るぞ~。

 ◆常幸龍 貴之(じょうこうりゅう・たかゆき)本名・佐久間貴之。1988年(昭63)8月7日、東京都北区生まれ。埼玉栄高から日大に進み、2年時の08年全国学生選手権優勝。卒業後、北の湖部屋に入門し、11年夏に初土俵。12年4月に木瀬部屋に移籍。同年九州場所で新入幕。最高位は小結(14年秋場所)。得意は右四つ、寄り、上手投げ。1メートル87、156キロ。

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