羽生手術 入院2週間&1カ月は絶対安静…3月世界選手権ピンチ

[ 2014年12月31日 05:30 ]

27日の全日本選手権男子フリー後、痛そうにおなかを押さえていた羽生

 プリンスがまた大ピンチに陥った。日本スケート連盟は30日、フィギュアスケート男子のソチ五輪金メダリストで、3連覇を達成した全日本選手権後に腹痛の精密検査を受けた羽生結弦(ゆづる、20=ANA)の診断を発表。「尿膜管遺残症」でこの日、手術を受け、約2週間の入院治療と約1カ月の安静加療が必要で、スポーツ活動は経過をみながら開始するとした。連覇を狙う来年3月25日開幕の世界選手権(中国・上海)へ、暗雲が漂ってきた。

 スケートの神は、どこまでプリンスに試練を与えるのか。日本スケート連盟によると「尿膜管遺残症」と診断された羽生はこの日、手術を受けた。約2週間の入院と約1カ月の安静が必要で、いつ練習再開できるかは不透明だ。連覇がかかる3月25日開幕の世界選手権まで約3カ月あるものの、調整プランに大幅な修正が必要になっただけでなく、コンディション次第では出場すらできない可能性もある。

 日本男子初の連覇を達成した、約20日前のGPファイナル(バルセロナ)の時から腹痛を訴えていた羽生は、16日の帰国後に医師と相談した際、全日本選手権後に精密検査を受けることを勧められていた。27日の全日本男子フリー後には腹部を押さえ、取材エリアでは「体調が悪いというより疲れがたまっている。いろいろ、ちょっと大変でした」とコメント。具体的な症状には触れなかったものの、ファイナルから全日本までに体重が2~3キロ減るなど、ギリギリの状態だったという。検査のため29日のアイスショーも欠場した。

 「貴重な体験をさせていただいた」と総括していた14年は、最後まで平穏には終わらなかった。2月、ソチ五輪で日本男子初の金メダルを獲得すると、3月の世界選手権も制覇。世界王者になっても進化を求め、新シーズンではSP、フリーともに演技後半に4回転を組み込む超高難度プログラムをつくり上げた。だが、今季初戦に予定していた10月のフィンランディア杯を腰痛で欠場。11月の中国杯では男子フリー直前の6分間練習で中国選手と激突し頭部、下顎から流血した。5カ所も負傷したが、3週間後のNHK杯に出場した。

 当初の予定では、ソチ五輪金メダルによる年明けからの表彰ラッシュを終えた1月中旬以降、拠点のカナダ・トロントに戻るはずだった。世界選手権では演技後半の4回転解禁も目指していたが、今の状況では全てが白紙に。苦境を乗り越えて勝った全日本後、さらなる苦境を予見したのか、羽生は言った。「壁の先には、壁しかない。人間はそういうものと思っている」。新たな壁を乗り越えるため、今は静かに体の回復を待つ。

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