新葉 中2で全日本表彰台!真央以来快挙…それでも「悔しい」

[ 2014年12月29日 05:30 ]

華麗なスケーティングを披露した樋口

フィギュアスケート全日本選手権最終日

(12月28日 長野市ビッグハット)
 来年3月の世界選手権(中国・上海)の代表選考会を兼ねて行われ、年齢制限で同選手権出場資格のない女子の樋口新葉(わかば、13=日本橋女学館中)が合計181・82点で3位に入った。中学2年での全日本表彰台は当時14歳だった04年2位の浅田真央以来、10年ぶりの快挙。宮原知子(16=関大高)が195・60点で初優勝を飾り、競技終了後に宮原、男子の羽生結弦(ゆづる、20=ANA)ら代表が発表された。また、ソチ五輪5位の町田樹(たつき、24=関大)が現役引退を電撃発表した。

 フィニッシュできっちり静止できないほど、樋口の体力は限界だった。ジュニアよりも30秒長くなるフリーの演技時間よりも、大舞台の緊張感が体の自由を奪う。冒頭の3回転ルッツ―3回転トーループは1回転ルッツに。だが、ここから立て直し、基礎点が1・1倍になる後半、単発の3回転ルッツに3回転トーループをつけ難度の高い3―3回転を着氷した。取材エリアでは疲労から立っていられず、椅子に座って対応。中学2年で表彰台に上っても、13歳に満足感はなかった。

 「今の自分の力を全部出し切れなくて凄く悔しい。緊張していつもの演技ができなかった」

 まだあどけない13歳は好きなスケーターに「安藤美姫さんと、キム・ヨナさん(韓国)です」と2人の名を挙げる。07、11年世界選手権を制した安藤とはチャリティーショーで共演してから交流があり、流れるような金ヨ児さんのスケーティングに魅了された。樋口の今季フリー、ガーシュインの「ピアノ協奏曲」は、キム・ヨナさんが10年バンクーバー五輪フリーで150・06点の世界記録をマークして金メダルを射止めた曲だ。

 今季休養中で08、10、14年・世界選手権制覇の浅田真央にも憧れる。「(浅田は)存在そのものがスター。人柄も含め、そんな存在になりたいみたい」と母・実枝子さん(50)。近年の銀盤を彩った世界女王3人を合わせた選手を目指す13歳は、まだ心身ともに成長途上だ。遠征でホテル滞在中、ストレッチも体幹トレーニングも一切しない愛娘に、実枝子さんは「自覚が足りない。もどかしいくらいです」と苦笑い。母が認めるくらいスケートに向き合った時、進化は加速する。

 年齢制限のため、世界選手権には今季も来季も出られない。今の目標は、来年3月4日開幕の世界ジュニア選手権(エストニア)での金メダル。そして、順調なステップを刻み、17歳で迎える18年平昌(ピョンチャン)五輪で頂点へ。昨年の全日本はフラワーガールを務めて花束を拾っていたが、1年で立場はガラリと変わった。「自分が花束をもらうのは、凄くうれしいです」。黄金の可能性を秘めた13歳なら、どんな夢だって現実に変えられる。 

 ▼世界選手権の代表選考 男女とも枠は3で(1)全日本優勝選手は決定(2)全日本2、3位、GPファイナル出場上位2選手の中から総合的に選考(3)上記の選考に漏れた選手、世界ランク日本人上位3人、今季ベストスコアの日本人上位3人から総合的に選考。国際連盟は年齢制限を設けており、シニアの国際大会には試合に出るシーズンの7月1日時点で15歳以上であることが条件のため樋口は出場資格がない。

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