さくら実った二人三脚、涙のミセス初V 獲得賞金は10億円突破

[ 2014年11月24日 05:30 ]

結婚後初優勝を決め夫の森川氏(左)と抱き合って喜ぶ横峯

女子ゴルフツアー大王製紙エリエール・レディース・オープン最終日

(11月23日 香川県三豊市 エリエールゴルフクラブ=6428ヤード、パー72)
 涙のミセス初Vだ。2打差2位から出た横峯さくら(28=エプソン)がボギーなしの4バーディーで68をマーク。通算18アンダーで今季初勝利を逆転で飾り、史上2人目の生涯獲得賞金10億円突破を達成。通算23勝目はメンタルトレーナーの森川陽太郎氏(33)と4月に結婚後、初めての優勝。勢いに乗って米ツアー予選会(12月3~7日、米フロリダ州)へ挑戦する。1打差2位に鈴木愛(20=フリー)、森田理香子(24=リコー)ら3人が入った。
【最終R成績】

 初めて2人で味わう喜びに横峯の涙腺は一気に緩んだ。1メートルのウイニングパットを沈めると目頭を押さえた。1日遅れの「いい夫婦の日」にゴルフ界のベストカップルがつかんだ歓喜。新しい世界へ誘ってくれた夫と抱き合い、こみ上げる感情をかみしめた。

 「結婚してから成績が落ちたという声は少なからず私たちの耳に届いていましたから。ここで優勝できて安心しました」

 “プチげんか”を乗り越え頂点に立った。毎晩、2人で向き合うメンタルトレーニング。大会前「通算16アンダー」を目標にしていたため3日目で14アンダーまで伸ばした横峯は前夜、「あと2つだ」と思っていた。ところが森川氏は「最終日も1日7アンダー」に上方修正。納得できず「逆ギレした」(森川氏)妻を夫が懇々と説き、30分後、ようやく納得して眠りに就いた。

 プレッシャーで熟睡はできなかったものの一夜明け腹をくくった。序盤から同組の2人がバーディーを重ね、最大3打差つけられても慌てない。8番で初めてバーディーを奪うと9番パー5は2オンして連続バーディー。じわりと追い詰めると、15番で8メートルを入れ、首位に追いつく。16番パー4は第2打を2メートルにつけ再びの連続バーディー。これで抜けだし「主人に苦しめられた1週間」は最高のフィナーレになった。

 ジュニア時代から将来を嘱望され、プロ転向すると3試合でシード入りを決め、2年目で初優勝。5年前には賞金女王にもなった。いつしか好きだったゴルフが「生活の一部というか大半になった」。勝てないと自分を責めた。

 マイナス思考の横峯を変えてくれたのが森川氏だった。「2位になれるなんて凄いんだよ」と考え方を転換させられるとゴルフへの向き合い方も変わった。「ゴルフは仕事として頑張るけれど、それ以外にも私の仕事はある」と料理や洗濯、旅行も楽しんだ。

 今季の日本ツアーを有終の美で飾り生涯獲得賞金10億円を突破。不動裕理以来2人目の快挙を手土産に米ツアー最終予選会に挑戦する。通過すれば、来季は米ツアーが主戦場。これまでなら不安が支配する新天地だが、今の横峯は違う。だって、隣には愛する夫がいるのだから。

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