松山、大和魂V「外国選手にパッと来て勝たれたくない」

[ 2014年11月24日 05:30 ]

11番、バーディーを決めガッツポーズをする松山

男子ゴルフツアー ダンロップ・フェニックス最終日

(11月23日 宮崎県宮崎市 フェニックス・カントリークラブ=7027ヤード、パー71)
 土壇場で“勝負魂”を見せた松山英樹(22=LEXUS)がツアー通算6勝目をつかみ取った。首位から出て、5バーディー、4ボギーの70で回り、通算15アンダーで並んだ岩田寛(33=フリー)とプレーオフに突入。1ホール目で決着をつけ、4カ月ぶりの国内復帰戦を勝利で飾った。22歳8カ月28日での優勝は大会史上2番目の年少記録。海外の実力者がそろう大会で、ホストプロとしては初めて日本人選手が頂点に立った。
【最終R成績】

 崖っ縁から本当の強さを証明した。松山は15、16番と連続ボギーを叩いて首位から陥落。優勝へ望みをつなぐには、残り2ホールで2つ以上スコアを伸ばすしかない状況で、極限まで神経を研ぎ澄ませた。17番パー3。第1打はピン右奥5メートル。「ストロークなんてどうでもいい。とにかく入れたかった」。鋭い眼光でカップをにらみ、魂を込めたパットがフックラインを転がりバーディー。こん身のガッツポーズで気持ちを高めると、18番パー5は2打目でグリーン奥のカラーまで運び連続バーディーで首位をとらえた。同組で回る米国の新星スピースも「勝者の魂を持っている」と脱帽した。

 自力でつかんだ18番でのプレーオフ。鬼気迫る形相が東北福祉大の先輩、岩田をのみ込んだ。ティーグラウンドで握手を交わすと、「勝負師の顔だった」と岩田はこぼした。松山は「態度が悪いと思われても仕方ない。少しでも隙を与えると負ける」と語る。1Wを曲げた岩田が自滅する中、冷静にパーセーブ。ホストプロとして貫禄を示し「外国選手にパッと来て勝たれると、日本の男子は何してんだと思われる。本当に勝って良かった」と誇らしげに笑った。

 歓喜の裏に悲壮な覚悟があった。3日目のプレー中、古傷の左手首に痛みを覚えるアクシデント。約2カ月間外していたテーピングを最終日は患部に巻いた。スタート前には心配する関係者に「あと1日ぐらい持ちます」と決意を語った。第1打を左に曲げた16番では「まさかあんなライに」とボールの数センチ先に木の根っこがむき出しになっていた。2打目を打った直後には左手首をぐるぐる回して「少し痛い」と顔をゆがめた。しかし、その次から連続バーディー。まさに大和魂を見せた。

 小学生だった頃、父の幹男さん(60)に愛媛県松山市から連れられ、この大会を観戦。世界最強のタイガー・ウッズ(米国)が参戦した02年に来場し、憧れの人が1Wを林に曲げると、一目散にボールまで走り、真剣なまなざしで飛球線を後方から見つめていたという。当時を振り返る幹男さんは「よう勉強しよったよ」と述懐。それから10数年。歴代覇者としてウッズと名前を並べるまでに成長した。「めっちゃうれしい。最近こんなにうれしかったことはない」と興奮を隠さなかった。

 ただ反省も忘れなかった。4ボギーに「プレッシャーの中でプレーがまだまだ」と向上心は尽きない。もちろんこの先に大きな野望があるからだ。日本ツアーは今季はこれが最後。「次はメジャーで勝てるように頑張ります」。大きな声で宣言した言葉を胸に再び米国で暴れまくる。

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