稀勢の里 悲願初V残った!全勝・鶴竜止め、白鵬戦に弾み

[ 2014年11月20日 05:30 ]

鶴竜(右)を押し出しで破る稀勢の里

大相撲九州場所11日目

(11月19日 福岡国際センター)
 大相撲九州場所11日目が19日に行われ、悲願の初優勝を狙う大関・稀勢の里が全勝の横綱・鶴竜を押し出して2敗をキープし、優勝争いに踏みとどまった。06年初場所の栃東以来の日本出身力士の優勝を狙う28歳。無敗の横綱を気迫十分の相撲で圧倒し、12日目の1敗の白鵬戦に大きな弾みをつけた。優勝争いは1敗の2横綱を2敗の稀勢の里と再入幕の栃ノ心が追う展開となった。
【取組結果】

 どんな場面でも真っ向勝負を貫く男の意地だった。既に2敗の稀勢の里が全勝を走る鶴竜を相手にがむしゃらに前に出る。立ち合いでは左から張られて押されたが、全くひるまずに回り込んで強烈な右張り手を一発。それで流れをつかむと、突き放し、頭突き、右おっつけと積極的な攻めのオンパレードだ。最後は相手の引き技にも対応して押し出し、完全燃焼。「よく見えていました」。右眉が血で染まるほどの激しい相撲を取り切って横綱を1敗に引きずり落とし、土俵上で仁王立ち。北の湖理事長(元横綱)も「足の運びが良かった。気分的にも大きい」と評価した。

 一方的に押し出された前日の日馬富士戦での屈辱を晴らすことだけを考えていた。「きのうは情けない相撲だったので、きょうは“何とか”という気持ちだった」。この日の朝稽古を終えても悔しさは消えず「負けたから」などと一言二言発しただけで「いいですか」と自ら切り出して早々と引き揚げ、自室にこもって精神統一。それほどこの一番に懸けていた。

 12日目は過去11勝36敗と水をあけられている1敗の白鵬と対戦。最近1年でも2勝4敗と負け越しているが、1年前には上手投げで倒して館内から万歳コールを浴びた。「しっかり自分の相撲を取りたい」。鶴竜があと1敗すれば自力Vの可能性が出てくるだけに、朝日山審判長(元大関・大受)は「優勝争いが面白くなった。毎日が大一番」と期待した。

 2場所連続で優勝争いに絡めないまま迎えた先場所千秋楽の朝。稽古場で黙々と汗を流し、そして言った。「見捨てられないように頑張りたい」――。新入幕からはや10年。再び惨めな思いを持ったまま年を越さないためにも、残り4日間に全てを懸ける。

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2014年11月20日のニュース