錦織 涙の2週連続V!重圧、疲労…「自分に勝ち感極まった」

[ 2014年10月6日 05:30 ]

優勝した錦織は観客の拍手を受けながら涙を流す

男子テニス楽天ジャパン・オープン最終日 決勝

(10月5日 東京・有明テニスの森公園)
 シングルス決勝が行われ、世界ランク7位 の錦織圭(24=日清食品)は同8位のミロシュ・ラオニッチ(23=カナダ)を7―6、4―6、6―4で下し、2年ぶり2度目のタイトルを手にした。第1セットはタイブレークの接戦。第2セットは落としたが、最終セットで粘り勝ち、2週連続優勝と凱旋優勝を果たした。今季4勝目でツアー通算7勝とし、世界ランキングは自己最高の6位に上がる見通し。シーズン上位8人が出場するATPツアー・ファイナル出場権争いでも5位に浮上した。 

 大歓声の中で錦織が大の字になった。コートの上に横たわって喜びをかみしめ、そして起き上がると頬を熱いものがつたい始めた。人前ではめったに見せない涙。「正直信じられない。ちょっとだけ涙が出ちゃったんですけど、日本での優勝が本当にうれしい」。最終セットの第10ゲーム、マッチポイントでラオニッチのフォアハンドがネットに掛かり、自身初の2週連続優勝を達成。感極まった錦織はコートサイドのコーチ席に向かい、マイケル・チャン・コーチ、ダンテ・コーチ、中尾トレーナーと抱き合って、また喜びに浸った。

 「決勝の前は試合の組み立てを考えられないくらい体のことで精いっぱいだった。一週間タフに戦えたのはチームの後押しがあってこそ。また一つ壁を破れた。ネガティブをポジティブに変えて自分に勝てたのが一番うれしい。日本での決勝、タフな3セットを勝って、感極まってしまった」

 準優勝した全米オープンでは2週間、5セットマッチ2試合を含めて戦い抜き、トップ10と戦えることを証明。自信を得たが、重圧も増した。今大会は2日のダブルスを右臀部(でんぶ)の違和感で棄権。決勝前夜は眠れず「4、5回起きたり寝たりを繰り返した」という。それでも第1セットを執念でものにした。「落としていたら諦めてしまったかも」と認めた分岐点。チャン・コーチの助言が生きた。「良いサーブを決められても諦めろ。くよくよしたりイラついたりするのは良くない」。最速231キロのサーブを誇るラオニッチからエースを奪われても気持ちを切り替えて好機を探った。そして迎えたタイブレーク、6―5から223キロのサーブに食らいつき、第1セットを奪って勝利につなげた。

 夢だった4大大会決勝の舞台を経験。達成感もあった中、その後は新たな戦いに心身を整えるのが困難だった。それでもシーズン上位8人だけが戦うATPツアー・ファイナル進出に向け、これまで“スポット参戦”だったチャン・コーチが全米オープン後のアジアツアーに同行。マレーシア・オープンからシングルス9連勝で達成した2週連続優勝に、錦織は「コーチが厳しいのが役に立っている」とちゃめっ気たっぷりに打ち明けた。

 最新の世界ランクでは自己最高の6位に浮上する見通し。ツアー・ファイナル出場権争いでも前週の6位から5位に上がり、アジア勢初の快挙にまた一歩近づいた。今週は上海マスターズを控え、6日に移動予定とハードな日程は続く。「先週(マレーシア)優勝できて、日本でも優勝できた。1日だけ喜びをかみしめて、ツアー・ファイナルに向けて頑張りたい」。夢はまだ終わらない。錦織圭が新しい歴史をつくる。

 ▽ATPツアー・ファイナルシーズンのポイント上位8人が年間最強を懸けて戦うツアー最終戦。4人ずつ2グループに分かれて総当たりを行い、上位2選手が準決勝に進出。今季はジョコビッチ(セルビア)、フェデラー(スイス)、ナダル(スペイン)がすでに出場権を得ており、残り5枠。

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