錦織 当然の年間3勝!世界ランク自己最高7位浮上へ

[ 2014年9月29日 05:30 ]

決勝でガッツポーズする錦織(AP)

男子テニス マレーシア・オープン

(9月28日 マレーシア・クアラルンプール)
 男子シングルス決勝が行われ、世界ランク8位の錦織圭(24=日清食品)が同28位のジュリアン・ベネトー(32=フランス)を7―6、6―4で下し、今季3勝目、通算6勝目を挙げた。4大大会の全米オープンで準優勝してから初の大会で優勝し、賞金16万5000ドル(約1800万円)を手にした。世界ランキングも自己最高の7位に浮上する見込み。29日に開幕する楽天ジャパン・オープン(東京・有明テニスの森公園)での凱旋優勝に弾みをつけた。

 勝利の瞬間、右手でガッツポーズをつくり、雄叫びを上げた。アジアを背負う錦織の優勝に、満員の観衆も大歓声で祝福。「とても厳しい試合だった。プレッシャーのある中での優勝は価値がある」。トロフィーを誇らしげに掲げ、大会初優勝を喜んだ。「この優勝をバネに日本でも優勝目指して頑張りたい」。アジアツアー3連戦(マレーシア、東京、上海)初戦で頂点をつかみ、幸先の良いスタートを切った。

 第1セットはベネトーが積極的に攻めた。錦織もブレークの好機を続けて迎えながら、要所のミスで取り切れなかった。「相手のプレーが良く、負けるかと思った。イライラもあった」。それでも集中力を切らさずタイブレークに持ち込み、このセットをものにした。

 第2セットはストロークが安定した。第7ゲームはバックハンドのリターンエースでブレーク。「リラックスして攻撃的なテニスができた」。第10ゲームでは左右に振られたが、抜群のフットワークでボールに追い付くとバックハンドがストレートに決まり、マッチポイント。最後は錦織のサーブを相手がネットにかけて、優勝が決まった。

 快進撃で世界を沸かせた全米オープン準優勝から初めての大会。優勝ポイント2000の4大大会と比較し、ポイント250でツアーでは最もグレードが低い。錦織は第1シードで相手は格下ばかり。「気持ち的に難しい」と打ち明けたが、集中力を切らすことはなかった。「(全米後の)数大会が大事。気持ちをゼロにしてから試合に入るようにしている」。アジアの盟主として注目が集まった中、きっちり結果を残した。

 マレーシアでも「ヒストリーメーキング(歴史を変える)・サムライ」と紹介され、会場では地元ファンからも熱い声援が送られた。錦織は「ここは母国でもないのにとても多くの人が足を運んでくれた。こんな観客と試合ができて誇りに思う」と感謝の気持ちをモチベーションに変え、自身初のシーズン3勝目を挙げることで全米オープンでの躍進が本物だったことを証明した。

 29日発表の世界ランクは自己最高の7位に浮上する見通し。シーズン上位8人しか出場できないATPツアー・ファイナルの出場権争いでは6位につける。出場を狙う初めてのアジア人として、また一歩目標に前進した。29日に帰国し、楽天ジャパン・オープンに備える。「硬くなる不安はちょっとあるが、雰囲気に負けずにしっかりやりたい」。日本のファンの前で2週連続優勝、そして凱旋優勝に挑む。

 ▽ATPツアー・ファイナル シーズンのポイント上位8人が年間最強を懸けて戦うツアー最終戦で、第5のグランドスラムとも位置づけられる。試合は3セットマッチで行われ、4人ずつ2グループに分かれて総当たりを行い、上位2選手が準決勝に駒を進める。今季はジョコビッチ(セルビア)、フェデラー(スイス)、ナダル(スペイン)の3選手がすでに出場権を得ており、残り5枠。4大大会決勝並みの豪華な顔合わせが連日行われるファン必見の大会だ。

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