白鵬31度目V!ウルフに並んだ 史上2位大横綱の域

[ 2014年9月29日 05:30 ]

旭天鵬(右)に祝福のキスをされる白鵬

大相撲秋場所千秋楽

(9月28日 両国国技館)
 横綱・白鵬が横綱・鶴竜を掛け投げで下して14勝1敗とし、3場所連続で賜杯を獲得。優勝回数を千代の富士(現九重親方)と並ぶ史上2位の31度に伸ばした。大物新人の逸ノ城が快進撃を続けた中で、自らの原点である10年前の新入幕場所を思い返して最後まで圧倒的な強さを発揮。九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)では史上1位の大鵬に並ぶ優勝32回を目指すことになった。

 31度目の優勝を決めた表彰式。白鵬は「また胸元に抱けることに感謝したかった」と土俵上で受け取った賜杯をおがみ、額を押しつけた。場内インタビューでは「ホッとしました。疲れました」とあふれ出た感情を言葉にし、10秒ほど時間をかけて超満員の館内に手を振った。今場所は満員御礼14日間を記録。年3回開催の東京場所で大入り14日間以上は実に17年ぶりでファンに向けて感謝を表現した。

 勝てば優勝という状況の千秋楽結びでは鶴竜を相手にしなかった。左四つの体勢をつくると下手投げで土俵際に追い詰め、最後は左足を跳ね上げて掛け投げ。「落ち着いて取れましたね」と歓喜の瞬間を振り返った。

 千代の富士に並ぶ優勝31回を目指した15日間。最後まで優勝争いを演じた逸ノ城の台頭もあり「若い者の壁にならないと」と重圧もあった。そんな時、思い出したのは自らの原点。04年夏場所。白鵬は新入幕で12勝して敢闘賞を獲得した。「勢いもあったし、楽しかったなぁ」。当時、何度もビデオで研究したのが千代の富士の「前みつを取って前に出る相撲」だった。新入幕場所後に行われた中国公演上海場所2日目では横綱・朝青龍を浴びせ倒して優勝。九重親方と立場を変えていた千代の富士から「君いいね」と褒められた。それから10年後の今場所。照ノ富士、常幸龍といった若手には前みつを取って前に出る相撲で圧倒し「親方に並べたのはうれしい」と笑みを浮かべた。

 場所前には“経営の神様”稲盛和夫氏が主催する経営塾「盛和塾」の勉強会に出席した。数年前から自費で入塾しており、関係者は「塾生の一人として参加されているので特別扱いはない」と説明。「心を高めることが経営を伸ばす」という稲盛氏の言葉に感銘を受ける横綱は熱心に講義に耳を傾け、心を鍛えた。

 11月の九州場所では大鵬のV32を狙う。「その質問はやめてくれ。終わったばかりなのでゆっくり休みます」。横綱も人間。ひとまず英気を養ってから夢の境地にチャレンジする。

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