岩田 11年目の初優勝、最終ホール魅せた 米ツアー挑戦弾み

[ 2014年9月8日 05:30 ]

フジサンケイクラシック最終日、ツアー初優勝の岩田寛はギャラリーとハイタッチする

男子ゴルフツアー フジサンケイ・クラシック最終日

(9月7日 山梨県富士河口湖町 富士桜カントリー倶楽部=7437ヤード、パー71)
 プロ11年目の岩田寛(33=フリー)が念願のツアー初優勝を飾った。2打差の3位から出て、6バーディー、1ボギーでこの日のベストスコアに並ぶ66をマーク。通算10アンダーに伸ばして2打差を逆転した。プレーオフで敗れた6年前の08年大会の雪辱を果たし、11月11日に米フロリダ州で始まる米下部ツアー最終予選会挑戦に弾みをつけた。首位で出た池田勇太(28=日清食品)は73と落とし通算5アンダーで4位だった。
【最終R成績】

 勝利を呼び込むスーパーショットにギャラリーが沸いた。最終18番。岩田はピンまで残り190ヤードの2打目で7Iを振り抜くと高い弾道の球はグリーン右端に落下し、そこから、カップに吸い寄せられるようにピンそば1・5メートルについた。これを沈めると、この日、18番で唯一のバーディー。値千金の一打が同スコアで並んでいたI・H・ホを突き放した。プロ11年目での優勝。男泣きかと思いきや、号泣したのはオフに合宿をともにする谷口徹。一方、本人は「意外とあっけなかった」と淡々と話し、「無愛想な僕ですが、温かい声援をありがとうございました」と口下手な男なりの感謝の言葉を口にした。

 6年前の苦い記憶が生きた。プレーオフの末、東北福祉大の1学年後輩、藤島豊和に敗れた08年。首位で迎えた最終18番で、決めれば優勝となる1メートルのパットを残した。「メモに(ラインが)フックとあって、自分はスライスすると思った」。自分を信じ切れずフックと読んだボールはスライスライン。この日は6年前に似た場面で「自分の目を信じた」とストレートラインを読み切った。

 今季は12試合でトップ10が8回。「一打に集中」することが好調の要因だ。以前は結果が出ないと試合を投げ出すこともあったが、霧で2時間21分の中断を挟み、プレー再開後に大雨に見舞われても「落ち着いて焦りもなかった」という。再開後の2番では2打目を“ベタピン”のバーディー。「冷静」なプレーが岩田をたくましくした。

 大学の後輩、松山英樹を追って11月に米下部ツアーの最終予選会に挑むことを決めた。ただ、目標とする場で活躍する後輩には「もうちょっと楽しそうにやってほしい。いつもふてくされていて」とピシャリ。33歳が描く夢舞台はもっともっと楽しい場所だ。11年目の優勝は憧れの米ツアー挑戦へ何よりの弾みとなった。

 ◆岩田 寛(いわた・ひろし)1981年(昭56年)1月31日、宮城県仙台市出身の33歳。シニアで認定プロの父・光男さんの影響で中3からゴルフを始める。東北福祉大卒業後、04年にプロ転向。06年に初シードを獲得し、昨年まで8年連続で維持。今季は東建ホームメイト・カップとダンロップ・スリクソン福島オープンで2位。1メートル77、74キロ。

 ▼東北福祉大ゴルフ部・阿部靖彦監督 本当に良かった。とても心配だったよ。寡黙だが、練習熱心で芯がある。(宮里)優作のように2勝目もつかみとってほしい。

 ▼米ツアー参戦への道 かつては最終予選会上位25人までに米ツアーのシード権が付与されたが、13年から最終予選会は下部ツアーにあたるウェブドットコムツアーのシード権が獲得できるのみとなった。下部ツアーから米ツアーの出場資格を得るには、下部ツアーの賞金ランクで25位以上に入るか、全4戦で争われる米ツアーとの入れ替え戦で上位50に入る必要がある。入れ替え戦には下部ツアーの賞金ランク75位以上が出場できる。

続きを表示

この記事のフォト

2014年9月8日のニュース