豪栄道 師匠との絆でつかんだ大関 「大和魂」で初Vへ、横綱へ

[ 2014年7月31日 05:30 ]

力強く口上を述べる豪栄道(中)。左は境川親方、右は親方夫人の美奈子さん

 大相撲名古屋場所で12勝を挙げた豪栄道(28=境川部屋)の大関昇進が30日、日本相撲協会の理事会で正式に決まった。愛知県扶桑町の境川部屋宿舎で開かれた昇進伝達式の口上では「大和魂」という言葉を使い、我慢と潔さを持った新大関になることを宣言。秋場所(9月14日初日、両国国技館)に向け、まずは初優勝を目標に掲げた。

 うそ偽りのない心の底から伝えたかった言葉だからこそ、威勢よく言い切った。使者の出来山理事(元関脇・出羽の花)から大関昇進が正式決定したことを伝えられると、豪栄道は「謹んでお受け致します。これからも大和魂を貫いてまいります」と、はっきりとした口調で口上を述べた。それは、伝達式の会場にいる誰もが聞き逃さないような本当に大きな声だった。

 大和魂という3文字。その言葉に込めた思いについて、新大関は「日本人の我慢強さや潔さなど、いろんな意味がこの言葉にはこもっている」と説明した。師匠の境川親方(元小結・両国)、おかみの小林美奈子さんと一緒に考え抜き、本番までに10回以上も練習した。

 秋場所からは白鵬、日馬富士、鶴竜のモンゴル勢3横綱に、稀勢の里、琴奨菊、豪栄道の日本勢3大関という構図になる。ただ、大和魂は3横綱への対抗意識から出た言葉ではない。豪栄道は「外国人に対するものではなく、自分自身に大和魂が必要だと思った」と強調した。もっとも、周囲から期待されるのは、06年初場所の栃東以来の日本出身力士の優勝、そして貴乃花が引退した03年初場所以来途切れている日本人横綱だとも理解している。

 大関は師匠との絆でつかんだ。境川親方は稽古場では鬼になるが、普段は男気あふれる親分肌。野球賭博問題関与による謹慎処分で豪栄道が打ちひしがれた10年には一緒に涙を流したほどだ。「一緒に泣いて一緒に喜んでくれる熱い人」と豪栄道は言う。だからこそ相撲で恩返ししようと精進してきた。

 30日、52歳の誕生日を迎えた師匠は「自分の強さを過信せず、稽古を一生懸命やった。相撲の神様が見ていてくれた」と愛弟子の努力を認めた。昇進を祝う乾杯の音頭が取られた後に、弟子から自身の誕生日ケーキが出されると、「いらん!きょうは豪太郎の日なんだ」と拒否した。ただ、いざ新大関が隣に座ると「最高の誕生日プレゼントを頂きました」と感無量の表情。まさに2人の晴れ舞台だった。

 師匠が「夢は諦めずに追い掛けないといけない。夢で終わったら意味がない。やってくれる男」と鼓舞すると、新大関も「次は優勝」と断言した。本物の親子のような強い絆を持つ師弟が、一切の妥協をせずに頂点を目指す。

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2014年7月31日のニュース