豪栄道 大関へ!直近3場所で32勝も「12勝2回」評価

[ 2014年7月28日 05:30 ]

琴奨菊(奥)を下し12勝目を挙げた豪栄道

大相撲名古屋場所千秋楽

(7月27日 愛知県体育館)
 大関昇進を決め、引き揚げてきた支度部屋。昭和以降最長の14場所連続関脇から“卒業”が決まった豪栄道の右目から涙がこぼれた。「期待に応えられなくてつらかった。自分自身にがっかりしたし、現状を打ち破りたかった」。

 琴奨菊を相手に右を差し、握った左上手で振り回して体を密着させて寄り切る完勝。結びで白鵬が勝ち、優勝決定戦に持ち込むことはできなかったが「最後の相撲に勝ててうれしい」と納得の表情を浮かべた。

 先々場所は12勝で先場所は8勝。今場所、本来は大関獲りの足固めだった。大関昇進の目安である3場所33勝に1勝及ばなかったが、北の湖理事長(元横綱)は「12勝2回は大きい」と評価した。審判部から要請されたため、昇進を諮る理事会を30日に開催することが決定。稀勢の里以来3年ぶりに日本人大関が誕生する。

 4勝1敗で迎えた6日目に自らの殻を破る一番が訪れた。相手は小学生時に同じ相撲道場に通った同級生の勢。過去に一度も負けたことがない格下に対し、左に動いて上手を取る消極的な相撲で完敗した。「アホらしい相撲」。屈辱が心に火を付け「気合を入れ直した」と振り返る。翌7日目から内容が変わり、上位にも前に出る内容で圧倒し、協会幹部から大関の力があると判断された。

 11日目に白鵬を破った一番では左膝を負傷。取組では普段しないテーピングを施し、専属トレーナーに1日4時間以上もはり、超音波、電気とさまざまな治療を行った。前夜は興奮で3時間しか眠れなかったが、この日朝に境川親方(元小結・両国)から「昇進が懸かる可能性がある。気合入れてこい」と活を入れられ、覚悟を決めた。

 4年前の名古屋場所は野球賭博問題に関与して出場停止。「師匠には今までたくさん迷惑をかけた。少しでも恩返しできました。ここ一番で自分の相撲で勝つ精神的に強い力士になりたい」。周囲から「ガキ大将がそのまま大きくなったような性格」と評される大阪人が、新たな大関像をつくって番付の頂点を狙う。

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2014年7月28日のニュース