ラマダン中「腹減った」から!?大砂嵐が鶴竜食った!初挑戦初金星

[ 2014年7月18日 05:30 ]

大砂嵐は鶴竜挑戦で初金星をあげカメラマンの要請に笑顔でサムアップ

大相撲名古屋場所5日目

(7月17日 愛知県体育館)
 エジプト出身の平幕・大砂嵐が横綱初挑戦で鶴竜を逆転のすくい投げで破り、初金星を挙げた。初土俵以来15場所目での金星獲得は年6場所制となった1958年以降、米国出身の小錦の14場所目に次いで2位のスピード記録。ラマダン(断食月)が続く中で自分を信じた相撲を取りきり、アフリカ大陸初の22歳の力士が大仕事をやってのけた。全勝は横綱・白鵬、大関・琴奨菊に平幕の高安、千代丸を加えた4人となった。

 番付の頂点に君臨する力士に勝っても、それを“道半ば”と捉える大砂嵐にとっては特別なことではない。しゃく熱の名古屋で鶴竜をすくい投げで撃破したが、淡々と懸賞金を受け取り、無表情で勝ち残りの土俵だまりに座った。「あまり変わらない。きょう一日が終わっても次がある。うれしいとかうれしくないとかはまだ早い。まだファイブデイズ」。座布団が舞う光景も「見てない」と関心を示さなかった。

 自分を信じた末の勝利だ。現時点での最大の武器は右から繰り出すエルボーのような“かち上げ”。相手が鼻血を出しても失神しても関係ない。たとえ相手が横綱だったとしても…。一部力士からは「殴るスポーツじゃないから」と批判が出たが、本人は「いつも通り」と初志貫徹。それを鶴竜は脅威に感じた。立ち合いで動かれてかち上げは空振りとなったが、平幕の積極性が横綱の消極性に勝ち、最後は巻き替えの応酬から放った右のすくい投げが決まった。

 敬虔(けいけん)なイスラム教徒であるため、先月末の番付発表から千秋楽まで約1カ月間、ラマダンとなる。飲食は日没後にしか できないため、昨年は体重が7キロ減った。その反省を生かして食事の量を増やし、逆に自己最高の160キロまで増量。午前2時に起きて食べる夜食は、昨年はヨーグルトとおにぎりだけだったが、今年はちゃんこの残りを温めて食べている。この日の取組後には「喉が渇いた。腹減った」と嘆いたが、スタミナ切れは感じさせていない。

 年6場所制以降で小錦に次ぐ2位のスピード記録となる初土俵から15場所目での初金星。それが偉業であることは間違いないが「まだまだこれから」と一言。エジプトで貴乃花が相撲を取る映像を見て感じた「横綱になりたい」という野望を達成するまで、大砂嵐の日本での挑戦は終わらない。

 ▼北の湖理事長(元横綱) 鶴竜は相手の右からのすくい投げが強いことは頭に入っていなかった。大砂嵐は立ち合いが高いが、右が強いし、速いから。これで気分が良くなるだろう。

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2014年7月18日のニュース