白鵬 大鵬に並んだ幕内746勝 30度目Vへ盤石発進

[ 2014年7月14日 05:30 ]

安美錦を押し出しで破り懸賞金を掲げる白鵬

大相撲名古屋場所初日

(7月13日 愛知県体育館)
 30回目の優勝を狙う横綱・白鵬(29=宮城野)が小結・安美錦(35=伊勢ケ浜)を押し出し、白星発進した。幕内通算746勝は大鵬に並ぶ史上4位で、尊敬する大横綱の足跡を着実にたどっている。日本出身力士として8年半ぶりの優勝が期待される稀勢の里(28=田子ノ浦)も平幕・松鳳山(30=松ケ根)を押し出して、白星スタートを切った。

 大横綱に並ぶ白星にも、白鵬は決して頬を緩めなかった。積み上げた白星は大鵬と同じ幕内746勝目。「うれしいです」という言葉こそ発したものの「細かい記録で並んだと言っても、まだまだです。近づいたということ」。自らの慢心を戒め、口元を引き締めた。

 独特の緊張感がある初日に迎えたのは意表を突く攻めがある相撲巧者の安美錦。初日の対戦は過去4勝2敗と苦戦の跡がうかがえた。この日の朝は立ち合いの動きを何度も繰り返して確認し、稽古後は報道陣をシャットアウトして集中力を高めた。気合十分の本番では勝負への厳しさを示した。“待った”をかけられると、威圧するように右肘を相手の胸にぶつけ、土俵下へ吹っ飛ばした。

 2度目の立ち合い。鋭い出足で押し込み、相手が引いたところで一気に出た。土俵際で、はたかれて前のめりに体勢を崩したものの、左手一本で押し出した。「土俵勘、相撲勘を出せました。最後は力を抜いて押し切れた」。力んだまま出ていれば体が硬くなって土俵際で逆転を食らう危険があったが、冷静な判断で勝利を逃さなかった。北の湖理事長も「回り込まれそうになったが、余裕はあった」と評価。「3横綱が安泰。このまま頑張ってほしい」と上位陣の活躍に、優勝戦線が白熱することを期待した。

 歴代最多の優勝回数32回を数える大鵬は白鵬にとって特別な存在。「大鵬親方にはかわいがってもらった」と機会があるたびに話し、畏敬の念を抱く。昨年1月に亡くなる前に「しっかりやれ」とエールを送られた。その遺志を継ぎ、相撲界をけん引するのが自らの責務と認識する。今場所前には「早々に優勝30回の大台に乗せたい」とV宣言もした。大記録を目指して精進を続ける第一人者に、油断はない。

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2014年7月14日のニュース