“もう一人のみな美”橋本破り王手 中嶋常幸の門下生

[ 2014年6月29日 05:30 ]

ホールアウト後、中嶋常幸からもらったというゴムバンドを脚に巻いて練習をする蛭田みな美

日本女子アマチュア選手権第4日

(6月28日 茨城県大洗町 大洗ゴルフ倶楽部=6346ヤード、パー72)
 準々決勝と準決勝が行われ、中嶋常幸主宰「トミーアカデミー」の特待生の蛭田みな美(16=福島・学法石川高1年)が決勝に進んだ。準々決勝で予選1位通過の権藤可恋(18)を破り、準決勝は全米女子オープンで活躍した橋本千里(16=愛知・ルネサンス豊田高1年)を撃破した。29日の決勝で佐藤耀穂(18=埼玉栄高3年)と対戦する。国内ツアー最年少優勝記録を持つ勝みなみ(15=鹿児島高1年)は準々決勝で敗れた。

 会見を終えた蛭田が真っ先に向かったのは、誰もいない練習場だった。昨年12月のトミーアカデミーの合宿で、中嶋から「俺が使っていた物だけど」と言ってもらった何重にも輪ゴムをつなげた道具を太腿に巻いてショット練習。永久シード選手も行ってきたドリルをそれ以来実践して、「ショットで下半身が安定するようになった」と中嶋流で決勝まで上り詰めた。

 1Wの飛距離は240ヤードと平均的だが、パターが得意でハンデは驚きのプラス2・4。憧れは「メジャーで何勝もしてるから」と“ホワイトシャーク”ことG・ノーマンだ。準々決勝では予選を通算10アンダーで首位通過した権藤に4&3で完勝。次なる壁の橋本も全米女子オープンで68位と奮闘した強豪。一時は2アップまで許したが、粘りがミスを誘い、同点だった17番で相手が3パットのボギーで1アップ。18番をパーで分けて勝利した。

 得意のパットは第1日まで不振だった。それでも、調子が良かった頃のルーティンを思い出し、父・宏さん(54)から構える前に深呼吸するようにアドバイスを受けて復調した。さらに、5月の東北女子アマではこのマッチプレーをにらんだメンタル強化も行った。緊張して体が硬くなることを想定し、宏さんは「絶対勝て」と何度も重圧をかけてきた。当時の結果は3位だったが「その時の経験が生きている」と父はうなずいた。

 ツアーで同じ名の勝が優勝し「活躍が刺激になっている」という。だが自身が「みなみちゃん!」と呼ばれるのは「いい気分はしません」と言い切った。勝は両親が好きな野球漫画タッチのヒロイン浅倉南から付けられたが、「夢に観音様が出てきて、みなみという名前を付けなさいって。ふざけた話だけど本当なんです」と宏さん。ツアーは12年ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンの51位が最高。アマ旋風には乗り遅れたが、“もう一人のみな美”は、「自信もあって差は最初から感じていない」と力を込めていた。

 ◆蛭田 みな美(ひるた・みなみ)1997年(平9)7月15日生まれ、福島県出身の16歳。家族の影響で3歳からゴルフを始める。11年日本ジュニア選手権12~14歳の部7位。14年全国高校選手権春季大会5位。兄の玲於(19)は東北福祉大1年でゴルフ部。父・宏さんは獣医。1メートル63。

 ▽トミーアカデミー 小学5年から高校2年までの男女が対象で、世界のフィールドで活躍できる次世代ゴルファーを育成することが目的。最大80人による選考会で、10~15人が中嶋本人の審査によって特待生となる。年数回にわたって2泊3日の合宿などが行われる。

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