桐生 圧勝10秒05!コーチも驚き「彼はアブノーマル」

[ 2014年5月18日 05:30 ]

男子100メートル決勝、10秒05で優勝した桐生(手前)

陸上関東学生対校選手権第2日

(5月17日 埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)
 日本初の9秒台へ再接近だ。男子100メートル決勝で、桐生祥秀(18=東洋大1年)が追い風1・6メートルの好条件の中、末続慎吾(東海大、現ミズノ)と並ぶ学生タイ記録&大会新記録の10秒05で圧勝した。昨年4月の織田記念国際(広島)で出した10秒01に次ぐ、自己2番目の好記録。24、25日の世界リレー(バハマ)に出場し、日本選手権(6月6~8日、福島)で初の日本一と9秒台を狙う。

 一瞬のうちに歓喜は2度、やってきた。フィニッシュした桐生が、優勝した喜びを表すために右拳を握る。「勝てて良かった」。次の瞬間、電光掲示の10秒06の表示を見ると、握った拳にさらに力が入った。「優勝を狙ってタイムも出た。やっと0台を出せた」。正式タイムは10秒05。18歳のワンダーボーイが、自己2番目の好タイムで学生初タイトルを手に入れた。

 準決勝は3・6メートルの追い風参考記録で10秒25。動きに精彩を欠き、土江コーチは「ボクはノーマル・スプリンターだったので、きょう記録が出るのは難しい」と分析していた。だが、決勝前に桐生のオーラが一変。「見たことがないくらい集中 していた。人が近寄れない雰囲気があった」と明かした同コーチは、「05までいくとは予想以上。彼はアブノーマル・スプリンター」と独特の表現で称えた。

 11日のゴールデングランプリで、04年アテネ五輪を制したガトリン(米国)に0秒44差の完敗。「一緒に走って、あれだけ離された」。世界で戦うためにも、学生同士のレースで負けられない。最近は腿上げやミニハードルなど、洛南高時代に取り組んだ練習メニューに回帰し、好調時の動きを取り戻すことに成功。課題のスタートは脳内で好イメージを練り上げ、予選からラウンドが進むごとに修正した。

 今大会で10秒05を出したことに価値がある。10秒01を出した織田記念国際は、国内屈指の高速トラックと言われるエディオンスタジアム広島で行われる。「織田じゃないところで、セカンドベストが出た」。広島以外での好タイムは、地力がついた何よりの証。「スタートから100メートルまで全部、上げていきたい」。日本短距離界の悲願へ、真のカウントダウンが始まった。

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