遠藤“まげ初勝利”!入幕以来初の初日白星

[ 2014年5月12日 05:30 ]

遠藤が寄り切りで旭天鵬を破る

大相撲夏場所初日

(5月11日 両国国技館)
 角界のホープ、東前頭4枚目・遠藤(23=追手風部屋)が“まげ初勝利”を飾った。入門から約1年4カ月で力士の象徴であるまげを手に入れ、迎えた注目の初日。ベテラン旭天鵬(39=友綱部屋)に寄り切りで完勝し、入幕以来初の初日白星を挙げた。
【初日取組結果】

 初めて本場所で結ったまげが一切乱れなかった。遠藤は16歳年上の旭天鵬に対し、立ち合いで左を差して右上手をがっちり握る。得意の左四つの型をつくると、あとは低い体勢で前に出るだけ。「記念じゃないですけど、まげを結って最初の相撲で白星を飾れて良かった」。相撲人生においてはただの通過点に過ぎないが「力士の象徴」と言う“まげ姿”での初白星には格別の思いがあった。

 まげを結って相撲部屋で生活し始めたのは5月1日から。その際は「結ってから感覚が変わったりするという話は聞く」と不安も抱いたが、10日間経過して「ざんばらの時よりやりやすい」と感じた。3日前には幕下らを相手に2時間に及ぶ80番稽古を敢行。人生初の番数をこなすことで、何の違和感もなく場所に臨めるようになっていた。

 売れ残っていた「ざんばら姿」のストラップ(650円)は希少価値を求めるファンが続出して昼には完売。午後2時に国技館に登場するなり「まげだ!」という声が響き、100人以上が追っかけた。もちろんこの日のチケットは完売。“遠藤効果”もあって東京場所では5年ぶりの8日間満員御礼も見えてきた。

 母の日の勝利に「白星がプレゼント」と石川県穴水町に暮らす母・玲子さんに向けての思いを口にした。中学から親元を離れ、金沢・西南部中で下宿。離ればなれとなった母親に心配を掛けないため“文武両道”を率先した思い出もある。中学の相撲部顧問・西塔幸子さんは大会が一段落した中学3年秋の遠藤を述懐。「練習があるのに塾に通いたいと言いましたので自分が教えることにしました。力になってあげないと、と思った」。西塔さんは毎日下宿に通って午後7時から家庭教師を務め、15歳の少年はどんなに疲れていても耐えた。

 そんな遠藤も、いまや角界一の人気者。昨秋の新入幕以降初の初日白星に「初日に勝ててないのは知っていたけど、いつか勝てる」と言った。まげを結い直し、おろしたてのフジの花が描かれた浴衣を粋に着こなす23歳は、正真正銘の力士になっていた。

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