佳純 喜びと悔し涙…中国に完敗も「ロンドンより成長」

[ 2014年5月6日 05:30 ]

<日本・中国>第2試合、中国の李暁霞と対戦する石川

卓球世界選手権団体戦最終日・女子決勝 日本0―3中国

(5月5日 国立代々木競技場)
 中国は強かった。決勝が行われ、女子の団体世界ランク3位の日本は同1位の中国に0―3で完敗し、銀メダルとなった。2番手で登場したシングルス世界ランク9位のエース石川佳純(21=全農)は同3位でロンドン五輪シングルス金メダルの李暁霞(26)との打ち合いで粘りを見せたがストレート負け。3人で奪ったゲームはわずか1つで、71年名古屋大会以来43年ぶりの世界一はならなかった。中国は2連覇。男子は中国がドイツを破って7連覇を達成した。

 エースの顔には喜びと悔し涙が混在していた。「やっぱりプレッシャーを感じていた」という一方で「ピンチをみんなで乗り越えることができて、凄くいい経験をさせてもらった」とも感じた。自国開催で31年ぶりの銀メダル。石川は表彰式でメダルを掛けられると、すぐに手に取り、じっくりと眺めた。

 世界最強の中国に無心で向かった。ロンドン五輪シングルス金メダルの李暁霞との第2試合。第1ゲームは0―3から前髪をピンで留めてスイッチを入れ、7―3とリードを奪った。だが、サーブで仕掛けて得点を稼いでも、勝負どころではスピードで上回る女王に圧倒された。結果は日本初の五輪メダルとなったロンドン五輪と同じ銀メダル。それでも「ロンドンより成長したと実感した」と一定の手応えはつかんだ。課題がレシーブと自覚した上で「もっと強くなれると思っているし、中国に近づきたい」と生き生きとした表情で語り、世界一への思いを強くした。

 エースの重圧は大きかった。大会前は「(1試合で)2回負けたらどうしよう。夢にも出てきた」と5回以上も悪夢に苦しんだという。だが、試合を重ねる中で仲間に助けられ、精神的にも強くなった。昨秋まで石川を指導していた母・久美さん(49)も「オランダ戦は硬くなってて。でもチームに救ってもらって吹っ切れたみたいで、後半戦はいけるなと思った」と娘の成長を喜んだ。

 31年ぶりの銀メダルを獲得し、16年リオデジャネイロ五輪、20年東京五輪に向けて大きな一歩を踏み出した。村上監督は「福原がいない中での2位は想定外。リオに向けて平野美宇や伊藤ら若手もいる。競争の中で(現メンバーも)尻に火が付いて努力すると思う」とさらなる底上げに期待した。ロンドン五輪の銀メダルは既に過去のもの。石川は飾らずに家にしまってあるという。悲願の金メダルへ向け、まだまだ走り続ける。

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