新横綱鶴竜「お客様あっての自分」初日徒歩で国技館入り

[ 2014年4月25日 05:30 ]

横綱になって初めての番付表を持ち、はにかんだ笑顔を見せる鶴竜

夏場所新番付発表

 日本相撲協会は24日、夏場所(5月11日初日、両国国技館)の新番付を発表し、史上初めて外国出身3人が最高位に就いた。3月の春場所で初優勝して第71代横綱に昇進した鶴竜(28)は東京都墨田区の井筒部屋で会見し、ファンサービスのため初日は徒歩で国技館入りすることを宣言。師匠の井筒親方(元関脇・逆鉾)からは勝ち星に執着して相撲を取るように厳命された。

 ファンを大切にすることを身上とする新横綱が、ぶれない姿勢を示した。横綱と大関は本場所の場所入りの際に車で国技館地下駐車場へ乗り付けることが相撲協会から許可されており鶴竜も専用車を手配済み。だが「東京場所の初日だけは正面から入ります。お客さまあっての自分。一生懸命努力してこれからもファンサービスにこだわっていく」と明言。大関時代と変わらず、初日はファンが人垣をつくる正面南門から徒歩で入場する。

 そんな真面目さ、朴とつさが第71代横綱の最大の魅力でもあるが、会見に同席した師匠の井筒親方は厳しくも温かい言葉を投げかけた。「横綱は負けたら辞めるしかない」。そう話した後「横綱っていうのは大変」という同じフレーズを3回繰り返した。先輩横綱の白鵬も常々「横綱の勝ち越しは12勝」と説明するように、最高位は「弱くなれば引退」という宿命を背負う。優しい性格の持ち主ということを誰よりも理解しているからこそ、師匠は「鶴竜らしい相撲で勝ちにこだわってほしい。こんな言い方をしてはいけないのかもしれないが、とにかく勝ち星に執着してほしい」と、あえて勝利至上主義に徹する大切さを説いた。

 会見中には“嫁とり”についての質問も飛んだが「未定です」とニコリと笑った28歳。だが、2度目の優勝への意識を問われると「強い気持ちを持っていきたい」と言い切った。新横綱場所Vは鶴竜に雲龍型を直接指導した第65代横綱・貴乃花の95年初場所が最後。サービスと勝ち星の両方にこだわった先に理想の横綱像がある。

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2014年4月25日のニュース