B・ワトソン 2年ぶりV、新鋭にリード許すもパワーで圧倒

[ 2014年4月15日 05:30 ]

2年ぶり2度目の優勝を果たし、息子を抱いて観衆とタッチを交わすバッバ・ワトソン(右)

USPGAツアー マスターズ最終日

(4月13日 米ジョージア州オーガスタ オーガスタ・ナショナルGC=7435ヤード、パー72)
 首位で出たバッバ・ワトソン(35=米国)は、3アンダーの69で回り、通算8アンダーの280で、12年以来2年ぶりとなる大会2勝目を飾った。複数回優勝は大会史上17人目。初優勝から2年以内でのV2は大会史上7人目だった。ワトソンとともに首位で出た20歳のジョーダン・スピース(米国)は一時トップに立ちながらも中盤以降に伸ばせず2位。大会史上最年少優勝はならなかった。

 18番グリーンのほほ笑ましい光景にパトロンも惜しみない拍手を贈った。頂点を極めた父を、2歳の長男カレブ君がよちよち歩きで出迎える。ワトソンは腰をかがめ愛息を抱え上げ、元バスケットボール選手で1メートル93のアンジー夫人を抱き寄せた。前年は着せる側だったグリーンジャケットに袖を通し「最初の優勝は運もあったが、今回は必死で準備して勝ち取った」と喜びを爆発させた。

 新星、スピースと息をのむ勝負を繰り広げた。勢いに乗る20歳に一時は2打のリードを許したが、8番パー5で桁違いのパワーを見せつけた。1メートル91の長身で1Wを強振すると、第1打は350ヤード飛ばないと越えられないバンカーの先へ。2打目はグリーン奥にこぼれたが、確実に寄せてバーディー。これで追い付き、9番のバーディーで逆転。後半はしぶとくパーを並べ、勝負を決したのは17番。3打リードする中、1メートル強のパーパットを沈めて勝利を確信。ガッツポーズを決めた。

 愛する家族に贈る勝利だった。12年3月末に長男を養子で迎えたが、法的な手続きが間に合わず、しばらく地元フロリダ州から子供を連れ出すことができなかった。翌月開催されたマスターズは電話で連絡を取り、声援を力に変えて優勝。今大会は4日間行動をともにして戦い、目の前で勝利をプレゼント。「前は父親になるのも初めてで、グリーンジャケットも初めて。慣れるのが大変だった」と振り返った。

 マスターズの勝利後はしばらく勝てない時期が続いたが、2月のノーザントラスト・オープンで1年10カ月ぶりに勝ち、通算5勝目を挙げた。「勝つことも大きな夢だし、メジャーで勝つことはもっと大きな夢。だから、いつも泣くんだ」。完全復活を果たした男の頬を涙が伝った。

 ◆バッバ・ワトソン(本名ジェリー・ワトソン)1978年11月5日、米フロリダ州バグダド出身の35歳。父の影響でゴルフを始め、ジョージア大を出て24歳でプロ転向。06年に米ツアーに参戦し、10年トラベラーズ選手権で初優勝。12年マスターズでプレーオフを制してメジャー初優勝を飾った。バッバは米国では体の大きな長男につけられる愛称。左打ちの飛ばし屋。1メートル91、82キロ。

続きを表示

この記事のフォト

2014年4月15日のニュース