入江 萩野止めた 男子100M背泳ぎロンドン銅タイム超えた

[ 2014年4月12日 05:30 ]

男子100メートル背泳ぎで進化したバサロを見せ優勝の入江

競泳日本選手権第2日

(4月11日 東京辰巳国際水泳場)
 またしても6冠を阻止した!!男子100メートル背泳ぎでロンドン五輪銅メダルの入江陵介(24=イトマン東進)は52秒57の好タイムで優勝した。萩野公介(19=東洋大)は200メートル自由形を制し2冠となったが、100メートル背泳ぎは53秒08で2位。昨年の200メートル背泳ぎに続いて入江に敗れ、史上初の6冠はならなかった。2人は仁川(インチョン)アジア大会などの派遣標準記録を突破し、代表入りを確実とした。女子50メートル平泳ぎは鈴木聡美(23=ミキハウス)が31秒30の日本新記録で制した。

 若きエースに圧勝した。入江は25メートル手前で抜け出すと、50メートルを自己最速の25秒58でターン。その後も加速し、先頭を泳ぎ切った。自身のロンドン五輪銅メダルのタイムを0秒4上回る52秒57。高速水着時代の自身の日本記録にも0秒33に迫った。「狙ったタイム通り。久しぶりに良いレースができた」。昨年の100メートルで敗れた萩野を抑え史上初の6冠を阻止したが「自分のレースに集中していた。でも僕も萩野も最終目標はここではないので」と言ってのけた。

 アクシデントを乗り越えた。昨年9月に20年東京五輪が決定し、リオデジャネイロ五輪挑戦を決意。その矢先に椎間板ヘルニアを発症した。朝、激痛で起き上がれず「靴下もはけなかったし洗顔もできなかった」という。その後治療を受けながらプールに入ったが、1月下旬までターン、ウエートトレーニングは禁止、バサロも制約された。

 だが、全力を出し切れない苦しさが気持ちを熱くした。1月末の国別対抗戦スーパーシリーズの出場は医者に止められながら押し切った。サッカー日本代表DF内田篤人(シャルケ)には「ヘルニアは精神的なもの」と言われたという。入江の出した答えは「自分を表現するのは水泳しかない」。昨夏の世界選手権でメダルを逃して現役引退をほのめかしたが「今は水泳が好き」とはにかんだ。

 ケガの功名もあった。腰に負担をかけないように体の使い方を見直し、体幹を鍛えた結果、「スピードの出し方が分かるようになった」。得意ではなかったバサロも無駄な力が抜けて他選手に離されなかった。「日本新を狙っていきたい」。悲願の金メダルへ、入江が大きな一歩を踏み出した。

 ▽競泳代表選考 代表枠は8月下旬にオーストラリアで開催されるパンパシフィック選手権が男女計52人まで、9月中旬開幕の仁川アジア大会は計38人まで。原則として、日本選手権の各種目で日本水連の派遣標準記録を突破し3位以内に入ればパンパシフィック選手権の代表となり、2位以内ならアジア大会代表にも入る。日本選手権で派遣標準記録を切った選手が少ない場合は、6月のジャパン・オープンの結果も加味し代表を追加する。

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