渡辺彩香 18番逆転初V!「足震えた」チップインイーグル締め

[ 2014年3月31日 05:30 ]

18番、逆転となるチップインイーグルを決め、ガッツポーズをする渡辺

女子ゴルフツアーアクサ・レディース最終日

(3月30日 宮崎県宮崎市 UMKカントリークラブ=6470ヤード、パー72)
 チップインイーグルで大逆転だ。首位と2打差の2位から出た渡辺彩香(20=ユピテル)が1イーグル、5バーディー、2ボギーの67をマークし、通算13アンダーでツアー初優勝を飾った。一時は6打差をつけられた前日首位の藤田幸希(28=フリー)を最終ホールでかわした。藤田は2打差の2位。18歳のアマチュア、柏原明日架(宮崎・日章学園高3年)は70で回り、通算8アンダーの4位でベストアマを獲得した。
【最終R成績】

 最終18番パー5の第2打。渡辺は残り219ヤードの第2打で迷わずに3Iを選択した。ウッドを多用する女子には珍しい男子プロのようなクラブ。持ち前のパワーがあるからこそ使いこなせるクラブを振り抜くと、グリーン左のラフにまで運んだ。この攻めの姿勢に勝利の女神が振り向いた。ピンまでは残り20ヤード。AWでのアプローチは緩やかなフックラインを描きカップへと吸い込まれた。ギャラリーの大歓声。渡辺は両手を突き上げた。「足が震えた」という、劇的なチップインイーグルで初優勝を決めた。

 まさにミラクルだ。1番で第1打を池に入れていきなりボギー。出だしから暗雲が立ち込めた。同組の藤田は順調にスコアを伸ばし、4番終了時点で6打差がついた。折り返した時も5打差。それでも、「まだ半分あると自分に言い聞かせた」と闘志は失っていなかった。16、17番で2連続バーディーを奪って1打差に詰め寄り、18番の大逆転劇につなげた。

 ホールアウト後は「家族がいなければ今の私もいないと思うので、みんなで喜びたい」としみじみ話した。地元は熱海だが、ゴルフの腕を磨くために強豪の埼玉栄高に進学。実家からは毎日2時間をかけて新幹線で通学した。母・和枝さん(47)は毎朝5時に起きて実家から熱海駅までの車中で食べる朝食用と昼食用の2つの弁当を作った。新幹線の定期代は月6万円だったが、母は「本人がやりたいと言ったことなので」とサポートに徹した。父・光章さん(53)も駅や練習場への送迎を行うなど、家族の支えがあってここまで来た。

 悲願の初優勝を挙げ、次は「今季のうちに2勝目」、そして、海外メジャー出場を目指す。その先には「東京五輪に出てメダルを獲りたい」という壮大な青写真も描く。平均飛距離は270ヤード。代名詞でもある規格外のドライバーショットのように世界へも飛び出していく。

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