鶴竜笑った 100人目賜杯で決めた 両親の前で「三度目の正直」

[ 2014年3月24日 05:30 ]

さあ横綱だ!!十両優勝の豊真将(左)とオープンカーでパレードする鶴竜

大相撲春場所千秋楽

(3月23日 ボディメーカーコロシアム)
 大関・鶴竜が大関・琴奨菊を下し14勝1敗で初優勝を飾り、第71代横綱への昇進を確実にした。先場所は優勝決定戦で敗れたが14勝1敗。「13勝以上での優勝」とされた昇進の目安をクリアし、1909年の個人優勝制度制定以降、100人目の優勝となった。外国人では6人目、モンゴル出身では4人目の横綱。24日の横綱審議委員会を経て、26日の夏場所番付編成会議と理事会で正式決定する。角界はモンゴル出身の3横綱時代を迎える。

 勝てば優勝の一番でも落ち着いていた。鶴竜は当たっていなす得意のパターンから頭をつけると、こん身の力で琴奨菊を寄り切った。この日、急きょモンゴルから駆けつけた両親の目の前で決めた初の賜杯。第71代横綱の地位も確実にした。所要74場所は外国人としては最も遅い横綱昇進だ。

 「最後まで自分の相撲が取れたと思う。うれしいです。三度目の正直。本当によかったです」

 先場所と2年前の春場所、あと1勝というところで優勝を逃したが、3度目の王手でついにものにした。それでも優勝インタビューでは淡々としていた。平常心。これこそが成長した証だった。

 勝てば優勝だった12年春場所千秋楽。本割で豪栄道に土をつけられると、直後の支度部屋では悔しさのあまり風呂場で珍しくうめき声を上げた。心が整わないまま臨んだ白鵬との優勝決定戦でも敗れた。そして平常心の大切さを思い知らされた。今場所の終盤戦のある朝、しみじみとこう言った。「負けて腹が立つときもあるけど、腹を立てても仕方がない。風呂場で気持ちを落ち着けることもある」。勝ったときは喜びを抑える努力をした。「調子がいいと思ってしまうとアカン。浮かれずに自分の心をコントロールしていきたい」。もちろん体重やパワーもアップしたが、精神面の充実なくして初優勝はあり得なかった。

 両親も歓喜した。支度部屋に引き揚げてきた息子に、モンゴル科学技術工大の教授である父マンガラジャラブさん(56)、母オユントクスさん(53)が順番に祝福のキス。13年前、日本に旅立つ息子を見送った父は「新しい風を吹かせてくれた。13年かけて目標を成し遂げた」と目を細めた。母は「モンゴルでは、みんなが応援してくれている。(本当は)毎日、隣にいてあげたい」と愛情を込めた。

 「13勝以上の優勝」とされていた横綱昇進の目安もクリアした。北の湖理事長(元横綱)は「優勝したことで臨時理事会を招集します。先場所が14勝で優勝同点。今場所も14勝」と横審への諮問を決めた。そればかりではなく「堂々と正攻法でいってほしい」と期待の横綱像まで示した。

 井筒部屋からは第30代・西ノ海以来91年ぶり、時津風一門からは第47代・柏戸以来53年ぶりの横綱誕生となる。鶴竜が角界に新たな歴史を刻む。

続きを表示

2014年3月24日のニュース