貴ノ岩平幕最速給金 モンゴルの大先輩・旭天鵬下して決めた

[ 2014年3月20日 05:30 ]

旭天鵬(左)を寄り切りで破る貴ノ岩

大相撲春場所11日目

(3月19日 ボディメーカーコロシアム)
 貴乃花部屋の貴ノ岩が旭天鵬を下して幕内で初の勝ち越しを決めた。土俵際に詰まりながらも粘り腰を見せて逆転し、もろ差しから旭天鵬を寄り切って今場所平幕第1号の勝ち越しとなった。白鵬は豪栄道を押し出し、日馬富士は5連敗中だった稀勢の里をはたき込んで11戦全勝。初の綱獲りの鶴竜は栃煌山をはたき込み、10勝目を挙げた。両横綱を1敗の鶴竜が追い、優勝争いは3人に絞られてきた。

 まさに師匠譲りの粘り腰だった。貴ノ岩は15歳上のモンゴルの大先輩の旭天鵬に立ち合いで右上手、左下手を引く。前に攻めようとしたところで右から振られて土俵際に詰まった。「親方に教えられたことができたと思う」と稽古場で師匠の貴乃花親方(元横綱、本紙評論家)から何度も言われ続けた「絶対に諦めるな」という言葉を思い出して必死にこらえて残すと、回り込みながらもろ差し。がむしゃらに前に出て寄り切った。幕内2場所目での勝ち越しは今場所平幕第1号。「うれしいです。土俵際は出るかと思ったが、何とか残った。一生懸命やっただけ。小さい頃にテレビで見ていたモンゴルの先輩に勝ててうれしい」と笑みがこぼれた。対戦した旭天鵬も「粘り強い相撲を取っていた。2桁は勝てるように思っている」と後輩の実力を認めた。

 初場所は新入幕で負け越したが、千秋楽で遠藤を下して幕内に踏みとどまった。「まだまだ力が足りなかった。もっと稽古しないと駄目」と場所前は基本に戻り、前ミツを取る相撲に磨きをかけた。1月下旬から初めてモンゴルの兄や姉の家族を東京に招待。都内を見学するなどリフレッシュできた。「家族のためにも頑張らないと」と決意を新たにした。今場所は京都府宇治市内の部屋から場所まで約1時間30分かけて電車通勤し「ゆっくりしている」と携帯電話のゲームでリラックス。夜も部屋まで直行するため出掛けることもなく自室でゆっくりすることで勝負に集中できている。

 師匠の貴乃花親方は「勝ち越したけれどまだまだ」と手厳しい。貴ノ岩も「頑張って2桁勝利を狙いたい」と慢心はない。幕内初の2桁到達へ、一つ一つ積み上げていく。

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2014年3月20日のニュース