遠藤 鶴竜に“逆転負け”真央の言葉借り「ハーフハーフ」

[ 2014年3月10日 05:30 ]

綱取りの鶴竜を土俵際まで追い詰めた遠藤だったが、逆転負けに流血した顔で悔しがった

大相撲春場所初日

(3月9日 ボディメーカーコロシアム)
 7場所目にして入門から初めて横綱大関総当たりとなる東前頭筆頭の遠藤(23=追手風部屋)は横綱昇進を目指す大関・鶴竜(28=井筒部屋)に惜敗した。前に攻め込んだ土俵際で巧みにはたき込まれて逆転負け。惜しくも黒星発進となったが、最速初金星が懸かる2日目の横綱・日馬富士(29=伊勢ケ浜部屋)戦に向け、弾みをつけた。横綱大関陣は3場所ぶりにそろって初日白星を挙げた。

 入門からたった1年のホープ遠藤が綱獲り大関を土俵際まで追い詰めた。「無我夢中でした」。だが、一瞬にして満員御礼の館内からの歓声は悲鳴に変わった。地位も経験も上手の鶴竜にうまくはたき込まれ、土俵下へ一回転。左のこめかみ、眉から血を流した23歳は目を細め口をゆがめて悔しさをあらわにした。この日の朝稽古後には「楽しまなきゃ損」と話したが、取組後には「楽しむにしても勝って楽しまないと」と悔やんだ。

 「無我夢中」と表現した一番。何も考えなかったからこそ、「思い切り当たれたのが良かった」と前に押し込んだことを収穫と捉えられた。一方で、何も考えてなかったからこそ、はたき込みに対応できなかった。無心で挑んだことへの自己評価は「真央ちゃんに例えるとハーフハーフ」。同学年のスターが引き際の言葉を濁したように、角界のホープもまた複雑な心境の答えを簡単には口にできずにいた。

 6場所の長岡(後の大関・朝潮)に続く史上2位のスピード横綱大関戦勝利はならなかったが、間違いなく今場所の“顔”は遠藤だ。春場所パンフレットの表紙はざんばら姿の遠藤が四股を踏む姿。館内売店も「売れたのはほぼ遠藤グッズ。5、6回倉庫を往復しました」とうれしい悲鳴を上げた。

 鶴竜とは場所前の出稽古で3勝64敗と全くかなわなかった。だが、その厳しい稽古によって「雰囲気とかは大丈夫だった」と少しでも実力を縮めた実感はあった。北の湖理事長(元横綱)も「惜しい相撲だった。あしたにつながる相撲」と評価。2日目の日馬富士戦に勝てば最速初金星となる。「思いっきりやるだけ。頑張ります」。荒れる春場所の主役に躍り出るチャンスはまだまだ残されている。

 ▽浅田真央の「ハーフハーフ」発言 ソチ五輪の日本選手団本隊が帰国した先月25日。フィギュア女子で6位入賞だった浅田は千代田区の日本外国特派員協会で会見した。来季の現役続行の可能性をパーセンテージで示すように求められると、笑みを浮かべ、「今の時点ではハーフ、ハーフくらいで」と答えた。初めて現役続行に50%の可能性を示し、200人を超える報道陣でごった返した会場は歓迎の笑いと温かい拍手に包まれた。

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2014年3月10日のニュース