田畑悔しい4位 スピードスケート陣メダルなしの屈辱

[ 2014年2月23日 05:30 ]

<日本・ロシア>(左から)高木、押切、田畑

ソチ五輪スピードスケート女子団体追い抜き

(2月22日 アドレル・アリーナ)
 女子団体追い抜きは22日に準決勝、決勝などを行い、日本は4位に終わった。準決勝で田畑真紀(39=ダイチ)を温存して強豪オランダに敗れた日本は、3位決定戦で地元ロシアに2秒84差の3分2秒57で敗れた。銀メダルに輝いた10年バンクーバー五輪に続く2大会連続の表彰台を逃した。今大会のスピードスケートで、日本はメダルなし。決勝はオランダがポーランドを下して初優勝を飾った。

 異様な熱気に包まれた会場で、がっくりと肩を落とした3選手の姿があった。地元ロシアとの3位決定戦。高木―押切―田畑が先頭交代を繰り返し、序盤はリードを奪った。だが、残り2周でロシアに逆転されると、一気に差を広げられた。準決勝のオランダ戦で大黒柱の田畑を温存してまで懸けた2大会連続のメダル。ゴールの瞬間に確定したのは、日本スピードスケート界の今大会メダル0という屈辱だった。

 「自分たちの力は出せて、大きい舞台でベストのタイムを出せたのは良かった。でも一人一人のレベルの低さみたいなものが、チームとして戦っても(世界との差を)埋められなかった。表彰台に立てる力をつけてこないといけなかった」

 淡々と振り返った39歳の田畑の姿が痛々しかった。進化を求めバンクーバー後に自転車競技に挑戦。12年ロンドン五輪出場はならなかったが、違う競技に触れスケートの楽しさを再確認した。自宅にある銀メダルは「ちらっと確認するぐらい」とおどけるが、もう一つ上の輝きを求める気持ちが厳しい練習を支えた。

 今季のW杯は自転車競技で出会った酒井修トレーナーに同行してもらい、体調を管理。精神面でもイチローのメンタル本を読み、平常心でレースに挑む心構えも学んだ。遠征中の部屋には“瞑想(めいそう)ゾーン”と呼ぶスペースをつくり、試合日にはその場所で目を閉じて集中力を高めた。「頭は冷静に、ハートは熱く」。心も体も4年前よりレベルアップした自負があった。

 重圧もあった。最終日までメダル0の日本で、最も強化に力を注いだ団体追い抜きにかかる期待は大きかった。代表選考では女子で最初に代表を決定。団体追い抜き優遇のために代表入りを逃した選手の思いも背負った。だが、世界の壁は容赦なく立ちはだかった。「オランダと凄い差がある。深刻に考えないといけない」。得た物は危機感だけだった。

 5度目の五輪。「世界が一つになれる素晴らしい大会。スケートをやればやるほど“ああしたい、こうしたい”というのが出てくる。それを自分で試すか、他人が試すか分かりませんけど」。43歳で迎える平昌挑戦の明言は避けたが、田畑にとってこの日が新たなスタートとなった。

 ▼石幡忠雄監督 結果として力不足で(メダルを獲れず)申し訳ない。若手を育てられなかったのは残念。今のままでは駄目ということがはっきりしている。まるっきり違う形での強化にしないと次はないと思う。

 ▼菊池彩花 (目を潤ませて)試合ではできることを精いっぱいやりきった。ここに来るまでの準備が足りなかった。ベストで臨めなかったのは実力不足。ここがスタートだと思って、応援してくれた人たちに笑顔を見せられるように頑張りたい。

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2014年2月23日のニュース