羽生、悲願の金メダルも…第一声は「すいません、ホントに」

[ 2014年2月15日 05:33 ]

金メダルを獲得した羽生は日の丸を背負って笑顔でウイニングラン

ソチ五輪フィギュアスケート 男子フリー

(2月14日)
 大歓声を浴び、表彰台の中央に立った。フィギュア男子では日本人初の快挙。セレモニー後、インタビューに臨んだ羽生は、複雑な笑みで喜びを口にした。

 「緊張しました…すいません、ホントに。やっぱりオリンピックはすごいって思いました。結果として、すごいうれしいなと思う半分、自分の中ではやはり悔しいと思うところが結構あるので。オリンピックで金メダルを獲って言うのも何ですけど、ちょっと悔しいと思います」。
 
 フリーは178・64点にとどまった。重圧からか、納得のいく演技はできず、観客に見せた笑顔も控え目だった。目指した世界一は遠のいたと思った。だが、直後に演技したチャンも、得点を伸ばすことができず、羽生はトップをキープ。「とにかく驚きしかなかった。うれしいという感情はなかった。自分の演技が悔しかったんで」と振り返った。

 それでも、初出場の五輪で世界に衝撃を与えたことは確かだった。13日のSPでは国際連盟公認の大会で史上初の100点超えとなる101・45点をマーク。世界選手権3連覇中のチャンは97・52点。3・93点の差をつけ、プレッシャーをかけた。

 昨年12月のGPファイナルに続き、王者チャンを破った。そして、自身が五輪を目指すきっかけとなり、憧れ続けてきたロシアの皇帝プルシェンコは、腰を痛めてSPを棄権し、引退を表明した。その皇帝は話していた。「金メダルの可能性が一番あるのは羽生さ」と。その“予言”通り、世代交代を現実のものとしてみせた。

 この日で羽生は19歳69日。過去、五輪の男子最年少金メダル記録は、48年サンモリッツ大会を制したディック・バトン(米国)の18歳202日。この記録には及ばないものの、史上2人目の10代金メダリストとなった。

 「金メダル、早く見たいですね」。この日のセレモニーでは花束だけだったため、まだ手元にないメダルを心待ちにしつつ、羽生は少しだけホオを緩めた。

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