真央トリプルアクセル2回に絞る!「心残りない」

[ 2014年2月6日 05:30 ]

笑顔で出発する浅田真央

 集大成の五輪は勝負に徹する!!フィギュアスケート女子の浅田真央(23=中京大)が5日、成田発の航空機でソチに向けて出発した。自身のアイデンティティーとも言えるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ、3A)について、ショートプログラム(SP)で1度、フリーで1度の計2度に絞る演技構成で、さらなる高得点を狙うことを明言。3Aを3度成功させながらキム・ヨナ(韓国)に敗れた10年バンクーバーの雪辱へ、大人の決断とともに決戦の地へと飛び立った。

 まったく迷いのない笑顔が、浅田の“行ってきます”の置き土産だった。報道陣や一般ファンでごった返した成田空港。ソチでの勝負プログラムについて聞かれると、即答した。

 「今年に入ってから、ちょっといろいろ自分の考えもあって、今回は(3Aを)2回で行く。ショートで1度、フリーで1度です」

 代名詞となった3Aは、バンクーバーからの浅田の全てを象徴してきたと言っても過言ではない。初出場の五輪で3度決めながらも、銀メダルに涙を流したのが4年前。翌シーズンはその武器の不調に引きずられるように精彩を欠き、GPファイナル進出も逃した。一時は3Aを封印。昨シーズン途中から解禁すると、昨年12月のGPファイナルと全日本選手権ではフリーで2度の3Aを投入し、完全復調も印象づけていた。

 しかし浅田はもう、大人の女性だった。

 「3回のアクセルという目標はバンクーバーで達成した。今回は全種類の3回転ジャンプと、調子がいい3回転―3回転も入れたい。(フリーの3Aが)1度の方が全体のプログラムのバランスがいい。自分の考えが変わりつつあります」

 実際、フリーに3Aを2度投入するより、3―3回転のコンビネーションを取り入れる構成の方が基礎点は高いことは以前から指摘されていた。それでも3度跳ぶ構成にこだわったのは、ギネス世界記録にも掲載されたアイデンティティーへの愛着。それを、集大成と位置づけた五輪の前にバッサリと切り捨てたことこそ、勝負への執着だ。

 スポニチ本紙解説でISU(国際スケート連盟)テクニカルスペシャリストを務める岡崎真氏は「採点には“バランスの良いプログラム”という要素がある。全種類の3回転ジャンプを跳べば基礎点だけでなく、5項目の演技点でもプラスにつながる可能性がある」と指摘。その決断を評価する。

 「今はいよいよだな、という気持ち。今年に入って体の調子も、スケートも凄くいい状態。ソチは(優勝した12年の)GPファイナルで滑っていいイメージがあるので、そのイメージで滑りたい」

 決して平たんではない道のりの4年間の歩みの先に、見つけた答えの正否は――。

 「(3Aを2度にすることに)心残りはない」と答えた23歳が帰国するとき、胸に金色の輝きをたたえていることを、日本中の誰もが願っている。

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2014年2月6日のニュース