沙羅 ジャンプ初快挙も当然「3連覇は目標ではない」

[ 2014年1月30日 05:30 ]

高梨沙羅の1回目ジャンプ

ノルディックスキー世界ジュニア選手権ジャンプ女子個人

(1月28日 イタリア・バルディフィエメ=HS106メートル、K点95メートル)
 高梨沙羅(17=クラレ)が大会3連覇を達成した。W杯での連勝が止まって迎えた一戦。2回とも最長不倒の100・5メートルを飛んで、合計262・9点で快勝。世界ジュニアのジャンプでは初となる3連覇で、ジュニアのカテゴリーにはとどまらないW杯総合女王の貫禄を示した。伊藤有希(19=土屋ホーム)が4位、岩佐明香(17=北海道・札幌日大高)は25位、山田優梨菜(17=長野・白馬高)は1回目に40位で2回目に進めなかった。

 勝って当然の試合でも、きちんと勝つことは意外に難しい。しかし、簡単ではない課題を高梨はしっかりとクリアしてみせた。「ここに来て練習では思うように飛べていなかったが、試合でベストを尽くせた。現時点ではいいジャンプができた」。すっきりとした笑みを浮かべ、表彰台の頂点で跳びはねた。

 踏み切りから空中姿勢へ移行する動作が素早く、切れがあった。緩い追い風が吹き続けるほぼ公平な条件で2回ともただ一人100メートルを越え、飛型点もトップ。質の高さを見せた。2戦連続で2位に終わったW杯で課題に挙げた助走の滑りを修正。「しっかり乗れたのでロスなく踏み切りで立てた」とはきはきと話した。

 26日にスロベニアでのW杯を終えるとすぐに移動し、バルディフィエメに到着した時には日付が変わっていた。その日の夕方の公式練習は飛距離こそ出ても長距離移動と時差ボケの影響も残り、感覚はしっくりきていなかったという。それでも「体が慣れてきた」と短時間で試合にきっちりと合わせた。同じ会場でヘンドリクソンに敗れ、銀メダルだった昨年の世界選手権の時より踏み切りの力強さを実感し「成長できた」と口にした。

 世界ジュニアには13歳だった10年に初出場して7位。翌年6位となってからはずっと勝ち続けて達成した3連覇だ。今大会にはW杯総合ランク上位5人のうち出場していたのは高梨と伊藤だけだった。力関係を考えれば、高梨が「3連覇は目標ではない」というのも当然だが、満足できる内容に結果が伴えば今後の調整にもプラスに働く。

 真の目標は2月11日。いよいよ2週間を切った。本命視されるのは五輪でも同じ。勝つべくして勝った今大会の経験もきっと役に立つはずだ。

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