琴奨菊、大関陥落危機…満身創いカド番で連敗

[ 2014年1月15日 05:30 ]

琴奨菊をきりかえしでやぶる豊ノ島(左)

大相撲初場所3日目

(1月14日 東京・両国国技館)
 カド番の大関・琴奨菊が豊ノ島に切り返しで敗れ、連敗で1勝2敗となった。先場所2日目に右大胸筋断裂で全治3カ月の重傷を負い、ここまで懸命に治療を重ねてきたが、万全とはほど遠い状態。さらに今場所初日の相撲で悪化させて黒星先行となり、カド番脱出に黄信号がともった。綱獲りに挑む大関・稀勢の里は千代大龍を寄り切り、白星先行。初日から3連勝は早くも横綱・白鵬、関脇・豪栄道、平幕の松鳳山の3人となった。

 右肩に施された太いテーピングが痛々しい。もう一人の日本人大関・稀勢の里が綱獲りに挑む一方で、その地位を必死に守ろうとする琴奨菊がまさに苦境に立たされた。

 入門前からのライバルである同学年の豊ノ島に立ち合いで得意のもろ差しを許し、防戦一方。負傷している右から捨て身の小手投げを打ったが、そこを切り返されて背中からバッタリ落ちた。連敗のショックと患部の痛みですぐに立ち上がることができない大関に対し、豊ノ島が思わず手を差し伸べる。「駄目だね…。くっそー」。引き揚げてきた支度部屋では苦悩の表情を浮かべ、ネガティブな言葉を口にした。

 地元福岡で迎えた先場所2日目、松鳳山に土俵際ですくい投げを打たれた際に「バチッと音がした」と大胸筋断裂で途中休場。全治3カ月の重傷に一時は手術も考えたが「初場所に出るために」と保存療法を選択した。2度目のカド番に向け、稽古場でゴムチューブを使って懸命にリハビリ。だが、ここまで関取衆と一度も稽古ができない“ぶっつけ本番”の状態で本来の力強い相撲は影を潜めた。しかも初日の千代大龍戦で「ブチブチといった」と状態が悪化。2日目の隠岐の海戦では1分近くの相撲の末に敗れ、この日から決意のテーピング姿で臨んだが、事態は好転しなかった。

 元日午前0時に千葉県松戸市の部屋近隣の神社に出向き、願掛け。今場所は最後の仕切りで右肩に塩を振って邪気を取り払うなどできる限りのことは尽くしている。目標の力士は13度のカド番を乗り切り、史上1位の大関在位65場所を誇った魁皇(現浅香山親方)。故郷の英雄である先輩大関のサイン入りイラストを明け荷の裏に貼って臨む土俵人生。「苦しい時に何かつかみ取らないと」と必死にもがいている。

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2014年1月15日のニュース