高木姉の菜那だけ五輪代表に メダル狙える団体追い抜き優先

[ 2013年12月30日 05:30 ]

女子5000メートルで5位に終わった高木菜

スピードスケート ソチ五輪代表選考会最終日

(12月29日 長野市エムウエーブ)
 高木姉妹の姉・菜那(21=日本電産サンキョー)がソチ五輪代表に滑り込んだ。女子5000メートルでは7分19秒70の5位に終わり、1500メートル、3000メートルに続き表彰台を逃した。しかし、W杯の団体追い抜きでの実績などが考慮され、逆転選出となった。男子1000メートルは長野高専出身の山中大地(23=電算)が1分10秒94で優勝。競技終了後にソチ五輪代表の男女計17選手が発表された。

 地獄から天国へ。うつろな表情を浮かべていた約4時間後、高木菜に吉報がもたらされた。1500メートルで4位、3000メートルで7位、この日の5000メートルは独走となり5位と惨敗。レース後は落選を確信し人目をはばからず、リンクサイドで号泣した。だが、最後の最後で代表に滑り込んだ。「拾われたという感じ。(五輪へ)体も心も強くしたい」と決意を語った。

 逆転選出を呼んだのはメダル重視の選考方針だった。女子団体追い抜きは06年トリノで4位、10年バンクーバーで銀とメダル有望種目。今季は「ナショナルTP(チームパシュート)強化選手」の枠を設置し、力を入れてきた。強化委員会では他種目よりも優先して選考。W杯第1戦で2位となり五輪出場枠獲得に貢献した田畑、菊池、高木菜が順当に選出された。

 メダルへのキーマンとしても期待される。前回銀メンバーの滑走順は穂積、田畑、小平。今季W杯は高木菜、田畑、菊池で挑み、日本記録をマーク。長距離の穂積と、すぐにトップスピードに乗れる高木菜とでは最初のラップタイムが「1秒半から2秒ほど速い」と団体追い抜き担当の羽田雅樹コーチは説明する。8カ国が出場するソチ五輪で、W杯ポイント4位の日本は初戦で韓国かロシアと対戦するが、そこを突破しても次は同1位のオランダとの対戦になる見通し。「選手が遅れたときの対処法などパターンを練習したい」と同コーチは代表合宿での課題を挙げた。

 大会前は姉妹同時出場も話題となった。4年前は中学生で五輪に出場した妹・美帆を現地で応援し、五輪への思いを強くした。不振に終わったレース後、姉妹は「ヤバくない?」と話したという。結果、妹は落選し、自らは踏みとどまった。「(美帆に)良かったねと言われた。2人で出場したい思いもあったが、ライバルだった」と複雑な表情を見せたが、下を向いている暇はない。「選ばれたからには結果を残さないといけない」。初の夢舞台で妹もなし得なかったメダル獲得を狙う。

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