部屋消滅余波…稀勢“試練”環境一変、初の一人暮らし

[ 2013年12月27日 05:30 ]

千葉県松戸市の旧鳴戸部屋を後にする稀勢の里(左)

 大相撲初場所(来年1月12日初日、両国国技館)で綱獲りを目指す大関・稀勢の里(27=田子ノ浦)が初の一人暮らしとなった。師匠の年寄名跡変更により鳴戸部屋から田子ノ浦部屋所属となり、稽古場は東京都墨田区の旧三保ケ関部屋に移転。26日は引っ越しを行ったが、関取用の個室が用意されていないため部屋から離れて生活することになった。環境が一変する影響からか、相撲教習所で行われた横審総見では横綱・白鵬(28=宮城野)に2勝5敗だったのを含め、18番で7勝11敗と精彩を欠いた。

【初場所番付表】

 綱獲りを前に稀勢の里が難題を抱えた。この日朝、急きょ先代鳴戸親方の遺族の意向により、千葉県松戸市の部屋からの引っ越しが決定。横審稽古総見を終えてから、田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)らは新たな部屋に決まった旧三保ケ関部屋へと慌ただしく荷物を運び込んだ。大家となるのは、秋場所限りで定年退職となった元三保ケ関親方で歌手の増位山太志郎。田子ノ浦親方は夕方にあいさつを済ませると「ご厚意で借りられることになった」と感謝の言葉を口にした。

 田子ノ浦部屋は来年にも東京都葛飾区に部屋建設を予定しており、今回は半年だけの仮住まいとなる。だが、借りられるのは5階建ての建物のうち、1階の土俵と2階の大部屋のみ。3階に個室はあるが、大家の関係者らの荷物置き場となっており使用できない。稀勢の里ら関取衆は近所のマンションを借りることになった。これまで稀勢の里は一人暮らしの経験がなく、不慣れな生活を強いられることになる。環境が一変することで相撲に集中できなければ、綱獲りは見えてこない。

 新しい部屋を見た大関は「いい稽古場。強い気持ちで切り替えていければ」と話しながらも「寂しくないと言えばうそになる」と15歳から力士として育ってきた鳴戸部屋から離れたことを残念がった。「力士をやっている限りは相撲を取ることが一番。自分のしこ名が変わったわけじゃないし」と落ち着き払っていたが、午前中の稽古総見では不安がのぞいた。関脇・豪栄道、大関・鶴竜に5勝6敗で、九州場所で倒した白鵬には互角の内容ながら2勝5敗。計7勝11敗と精彩を欠いた。「体の精度がまだ増していないが、状態は悪くない。これから上げていく」と話すにとどめた。

 27日からは新生田子ノ浦部屋での稽古が始まる。2年前の九州場所では当時の師匠(元横綱・隆の里)の急死という悲報に耐えて大関昇進を決めた。再び訪れた試練の中、鍛錬を続けていく。

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2013年12月27日のニュース