遠藤 待望白星 立ち合い合わずも悠然「思ったより早かった」

[ 2013年11月14日 06:00 ]

時天空を破り懸賞金を手に支度部屋へ向かう遠藤

大相撲九州場所4日目

(11月13日 福岡国際センター)
 入幕2場所目の遠藤が待望の初日を出した。左足首痛のため土俵での稽古を控えていた先月の土浦巡業で、初めてぶつかり稽古の相手に指名された時天空との因縁の一戦。立ち合いが2度合わずにいら立つ相手に悠然と振る舞い、押し出した。白鵬、日馬富士の両横綱、大関獲りの足固めを狙う関脇・豪栄道ら6人が全勝を守った。カド番大関・琴欧洲は左肩鎖関節脱臼で休場した。

 時天空に張り手を2発浴びて右頬を赤くした遠藤が、4日目でようやく今場所初の勝ち名乗りを受けた。左足首の捻挫と剥離骨折を押して出場した場所での初日に館内も沸いたが、遠藤は落ち着いて勝利を表現した。

 「思ったより早く初日が出たかな。特に(他の白星と)変わらないっす。張られることも想定していたので、何とか耐えられました」

 鬼のような形相でにらみつけられた最初の立ち合い。呼吸が合わなかったが、時天空の左張り手を受けた。2回目も突っかけられ、ようやく成立した3回目の立ち合いでは再び強烈な左張り手を見舞われたが、全くひるまなかった。左右の突きを繰り出して突進。「技が多彩」と警戒していた三役経験者に何もさせず、一気に押し出した。

 「稽古通りです」。取組後は“やるべきことをやっただけ”と言わんばかりに悠然としていた。そのスタイルは金沢市立西南部中時代から変わらない。当時の相撲部顧問、西塔幸子教諭は「課題を出すと、素直に集中してやる子でした。勉強でもそうでした」と振り返る。この日の朝稽古でも得意の左差しを封印して何度も突き押しを繰り返した。そして、本番もその通りに運んだ。課題に取り組んだ結果だった。

 因縁もあった。左足首痛のため土俵上での稽古を控えていた先月14日の茨城・土浦巡業。時天空に指名されて故障後初めてぶつかり稽古を強行した。「あれはファンのために時天空関が気を使ってくれたこと」。その“恩”を本場所で返した。

 左足首は万全ではないが「見に来てくれるファンの方がいる、というのはある」とプロとしてのプライドものぞかせた。1勝を弾みに、23歳のホープは残る11番もスタイルを貫いて土俵に上がる。

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