大輔 今季世界最高V!五輪へ「少し前進できた」

[ 2013年11月10日 06:00 ]

演技を終えた高橋はモロゾフコーチに向かって笑顔

フィギュアスケートGPシリーズ第4戦・男子フリー

(11月9日 東京・国立代々木競技場)
 万雷の拍手を浴びた高橋はホッとしたような笑みを浮かべた。胸を張れる出来ではない。だが、闘志と自信を取り戻せたことに安堵(あんど)した。

 「かなり緊張感のある試合だった。100%とは言えないけど、少し前進できたかな」

 SPで世界歴代2位の高得点を叩き出して臨んだフリー。演技前の練習で2度転倒するなど4回転ジャンプが決まらず、不安に襲われかけた。「前を向いていくしかない」。自らに活を入れ、冒頭で4回転トーループを鮮やかに成功。2回目の4回転が3回転となり、後半のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で着氷後に右手をつくミスがあったが、今季初めてSPとフリーの両方で大技を決めた。合計268・31点は町田樹(関大)がスケートアメリカで出した265・38点を抜く今季世界最高。ファイナル進出が濃厚となり、3大会連続五輪出場へ前進した。

 窮地に追い込まれていた。10月のスケートアメリカで4位に終わり、今大会まで約2週間ジャンプを特訓した影響で、08年に手術した右膝に痛みが出た。欠場を勧められたが、出場を譲らなかった。「短い期間でよく仕上げてくれた。彼の本来の強さを見せてくれて安心した」と長光歌子コーチ。9月に新調した靴が足になじむまで十分な滑り込みができなかったが、近年の主流である軽量化タイプではなく履き慣れた重いタイプを選択した結果、フィーリングが戻り、「ジャンプに高さ、幅が出た」(同コーチ)と手応えをつかんでいる。

 今季フリーの「ビートルズメドレー」で表現するテーマは“愛”だ。「今までたくさんの人と関わってきたから、今の自分がある」。感謝の思いを多くの人に最高の形で伝えられる舞台は2月のソチ。闘志に火が付いた日本のエースは歩みを止めない。

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2013年11月10日のニュース