美姫 逆転2位で全日本切符!ソチ五輪へ望みつなぐ

[ 2013年11月5日 06:00 ]

ジャンプした後、バランスを崩す安藤

フィギュアスケート 東日本選手権最終日

(11月4日 群馬県総合SCアイスアリーナ)
 何とか生き残った。14年ソチ五輪代表第2次選考会を兼ねて行われ、4月に女児を出産した安藤美姫(25=新横浜プリンスク)は女子フリーでトップの105・24点をマーク。合計を147・21点とし、前日のSP13位から2位と逆襲した。上位5位に与えられる全日本選手権(12月21日開幕、さいたまスーパーアリーナ)の出場権を獲得。崖っ縁の状況から巻き返したが、五輪代表を争う浅田真央(23=中京大)らとの差は大きく、夢舞台へ厳しい戦いが続く。

 覚悟を決めていた。SPで13位と出遅れた安藤は、全日本切符獲得の5位以内に入れなければ、この日のフリーが国内大会のラスト演技だった。「日本での試合は最後かもしれない。悔いが残る終わり方はしたくない」。意地のフリー1位で合計147・21点をマークし、逆襲の浮上2位。合計点は復帰後3試合の中で最も低く、優勝した西野に17・14点差もつけられたが、熱狂的なファンはスタンディングオベーションで安藤を称えた。

 「SPが13位だったので半分諦めてて、その中でも自分ができる演技を諦めずにするのが、競技者としてやるべきことだと思っていた」

 冒頭の3回転ルッツ、ダブルアクセル―2回転トーループでバランスを崩したが、転倒せずに何とかこらえた。10月の関東選手権後、ルッツが不調に陥り、今大会前の成功率は1割程度。回避するプランもあったが、SP、フリーともにプログラムに組み込んだ。「回避したら逃げになると思った」。表現力を示す5項目の演技点はSPで5点台が4項目あったが、この日は5項目全てで6点台と一夜で回復した。

 4月に女児を出産して半年以上が経過。安藤が不安を持っていたのは体力面ではなく、足の筋力低下だった。関東選手 権後、連日筋力トレーニングに励み、「筋力アップにつながった」と、フリーのジャンプは大きなミスなくまとめた。だが、復帰してから課題のステップは、下から2番目の評価のレベル2。3度のスピンもレベル2が2つに最低難度のレベル1が1つと、改善の兆しはない。GP初戦で204・55点をマークした浅田らと争う五輪代表。「五輪のレベルには全然ない」というのが現実だ。

 最終決戦の全日本へ向け、国際大会に2試合出場する。19日開幕のアイスチャレンジ(オーストリア・グラーツ)に招待出場することが決まっているが、12月上旬にも国際大会から招待状が届いている。「海外の方がリラックスしてできる。リンク環境は海外の方がいい。日本では集中して練習できない」。今週末にイタリアに渡って調整。「全日本が日本で最後の試合になると思うんで。頑張らないといけない」。わずかな可能性を信じて、元女王が全力を尽くす。

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