日本 幻トライに光明 オールブラックスに完敗も歴代最少得点差

[ 2013年11月3日 06:00 ]

<日本・ニュージーランド>ノーサイド直前、福岡(右)はマコウのタックルを受けサイドラインに押し出されてトライならず

リポビタンDチャレンジカップ2013 日本代表6―54ニュージーランド代表

(11月2日 秩父宮)
 ラグビーの日本代表は2日、「リポビタンDチャレンジカップ2013」でニュージーランド代表と対戦し、6―54で敗れた。世界ランキング1位の最強国とは5度目の対戦で、54失点、48得点差はいずれも最少だったが、ノートライに終わったのは87年の初対戦以来2度目。2年後のW杯イングランド大会へ向けて、手応えと課題を残す結果となった。

 勝負は決していた。それでも1トライが欲しかった。攻め続けて迎えた後半41分、展開から最後はWTB福岡がインゴール左隅にボールをグラウンドする。同時に相手主将マコウにタックルを食らい、体はタッチラインの外に転がった。トライか否か。ビデオ判定。1分後、左足がライン外に出たのが先と判定されると、2万454人の観衆からため息が漏れた。

 「みんながつないでくれたが取り切れなかった。(判定中は)祈っていた。あの場面で取り切れる選手にならないと」。右まぶたを5針縫った表情に悔しさがにじんだ。

 爆発的なスピードを買われ、歴史的勝利を挙げた6月のウェールズ戦に続いて先発。前半3分には、自陣ゴールラインまで10メートルの位置で、爆走するマコウをタックルで押し出すファインプレーも見せた。15年イングランド、日本開催の19年W杯ではフィニッシャーとして期待される福岡は「20代前半でニュージーランドとやれたのは、貴重な財産になる」。世界の舞台で通用するスピードは、ジャパンにとっても光明となった。

 オールブラックス戦の歴史は、日本にとって屈辱の歴史でもある。95年のW杯では、今もワースト記録として残る145失点。11年W杯でも完敗したが、2年を経て確実に進歩した。それでも前半22分に2本目のPG成功で6―7と肉薄しながら、その後は決定機をつくる前にマイボールを奪われ続けた。スコット・ワイズマンテル・ヘッドコーチ代行も「最初の20分は良かった。課題はボールキャリアーが高く、2人目のサポートが遅いこと」と総評した。

 日本代表は3日に欧州遠征へ出発し、スコットランド代表などと4試合を戦う。広瀬主将は「やっていることに間違いはない。自分たちを信じてハードワークを続けたい」と話した。15年W杯まで2年。世界の強豪と肩を並べるまで歩み続ける。

 ▼プロップ畠山(後半のスクラム劣勢について)途中でレフェリーに「高さを相手に合わせてくれ」と言われた。日本は同じ条件では勝てないから低く組もうとしたが…。高さを上げないと反則の恐れがあった。

 ▼No・8ホラニ 自分たちのミスが多く、簡単にボールを渡してしまった。オールブラックスはブレークダウン(タックル後の密集)への寄りが速く、倒れたと思ったらボールに絡まれていた。

 ▼SH田中 密集からの球出しが遅かった。最後の攻撃など通用する部分もある。その時間をどれだけ長くできるかが課題と思う。

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