美香 涙の日本一!最終ホール劇的パットで逃げ切った

[ 2013年10月7日 06:00 ]

優勝した宮里美(右)は目を潤ませる

女子ゴルフツアー 日本女子オープン最終日

(10月6日 神奈川県相模原市 相模原ゴルフクラブ東コース=6652ヤード、パー72)
 宮里美香(23=NTTぷらら)が涙の優勝を飾った。5打差の首位から出て、3バーディー、6ボギーの75とスコアを落としたが、2位に1打差の通算イーブンパー、288で逃げ切り、4日間、首位を守りきった。10年以来となる大会2勝目、プロ通算3勝目(米ツアー1勝)を飾った。49位から出た宮里藍(28=サントリー)は74で、通算16オーバーの45位に終わった。

 緩やかな7メートルの下りスライスライン。ボールが転がり始めると、宮里美は膝をつき見守った。ラインに乗ると、吸い込まれるようにカップイン。大歓声とともに右拳を振り上げ、加藤大幸キャディーときつく抱き合った。

 通算1オーバー、佐伯と並んで迎えた18番グリーン。宮里美は勝利を決めるバーディーパットを加藤氏と入念に確認。「これを決めたら勝ち」と気持ちを込めた。笑顔の後は歓喜の涙でいっぱいだった。

 苦しく長い一日だった。頭の中をよぎったのは9月の海外メジャー、エビアン選手権だった。最終日は首位で迎えたが、大きく崩れてメジャーのタイトルを逃し、悔し涙を流した。この日はスピードが遅くなったグリーンにタッチが合わず、前半は2度の3パット。8番までにスコアを4つ落とした。11、13番のバーディーで流れを引き寄せたかに見えたが、14番で同組の菊地がバーディーを決めたのに対し、ボギーを叩いて並ばれると、15番の連続ボギーで逆転を許した。

 ただ、フランスで流した涙は無駄ではなかった。「案外冷静だった」と闘志は萎えなかった。17番は菊地が3メートルを外してボギーを叩くと、1・5メートルのパーパットを入れ返しガッツポーズ。「あれが大きかった」。勝負どころで最高の力を発揮した。

 バッグを担ぐ石川遼の元エースキャディーの加藤氏は宮里美の“ミート”のうまさを高く評価する。沖縄で育ったジュニア時代は、目隠しをしてショットの練習を繰り返した。「一度も空振りをしたことがない」と簡単に言ってのける。天性の才能に加え、1Wのシャフトの長さは女子プロでは異例の44インチ。45・75インチが主流の中、短くすれば飛ばないというイメージがあるが、芯に当たる確率が上がり、正確性も増して飛距離が10ヤード近く伸びたという。1Wの安定感がメジャーで戦える大きな力になっている。

 過去の複数回優勝は最多8度の樋口久子ら8人おり、宮里美で9人目の快挙。ただ、5打差ありながら一時は逆転を許したドタバタ劇には「お騒がせしました。見ていて面白かったですよね?最後は神様がいたのかな」とおどけながら反省も忘れなかった。喜びに浸ったが、もう前を向いた。「こんなゴルフを続けては米国のメジャーには勝てない」。さらなる高みを目指す23歳の挑戦は終わらない。

 【勝者のクラブ】▼1W=テーラーメイドR1(ロフト角9・5度 シャフトの長さ44インチ 硬さC9)▼3、5W=同RBZ▼3、4U=同RBZステージ2▼5I~PW=同MC▼ウエッジ=フォーティーンRM(54度と58度)▼パター=オデッセイ・メタル―X♯7▼ボール=リーサル

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