白井 衝撃の世界デビュー!いきなり新技成功「シライ」命名へ

[ 2013年10月1日 06:00 ]

男子予選 新技の後方伸身宙返り4回ひねりを決めた白井健三の床運動

体操世界選手権第1日

(9月30日 ベルギー・アントワープ)
 衝撃の世界デビューだ。男子予選1班で演技した白井健三(17=神奈川・岸根高2年)が、床運動で昨年のロンドン五輪金メダル(15・933点)を上回る16・233点をマーク。新技の「後方伸身宙返り4回ひねり」を決め、「シライ」と命名されることが確実となった。2種類の技の平均点で順位を決める跳馬では14・916点。1回目は新技「伸身ユルチェンコ3回ひねり」を決め、15・400点だった。1日の最終4班終了後、個人総合は24人、種目は各8人(各国・地域最大2人)の決勝進出者が決まる。

 新技2発で自身の名を体操界に刻み込んだ。白井は跳馬の1回目に「伸身ユルチェンコ3回ひねり」(ロンダートから後転跳び後方伸身宙返り3回ひねり)に挑み、着地は片足がわずかに動いたがほぼ完璧な跳躍。床運動のラストでは「後方伸身宙返り4回ひねり」に成功してガッツポーズ。国際大会で初めて決まった2つの技に「シライ」の名がつく見通しとなった。床運動のスコアは昨年のロンドン五輪金メダル・鄒凱(中国)の15・933点を超える16・233点。初の世界舞台で17歳が衝撃デビューだ。

 「名前が付くという意識はなかった。リラックスして試合に入れた。(床運動は)それくらいの点かなと思っていた」

 床運動で11年世界選手権を制し、ロンドン五輪は銀メダルの内村航平をして「(白井は)ひねりすぎて気持ち悪いっすね」と言わしめる、ひねりの天才。万能キング同様、白井も小さな時からトランポリンが“友達”だった。3歳からトランポリンとたわむれ、父・勝晃さんは「跳びはねて疲れて“帰るよ”って言ってもトランポリンの上で寝ていた。誰にもひねりを教わっていない」と振り返る。驚異的な技術は遊びの中で培われた。

 男子史上最年少の世界デビューでも重圧はなかった。「今まで雰囲気にのまれたことがない」と白井。これまでで一番緊張したのが9月7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、20年五輪開催地が決定する瞬間だった。7年後の夢舞台は23歳で迎える。「年齢的にも一番いい。東京に決まらなくても、そこに合わせようと思っていた」と言う白井に対し、勝晃さんは「20年五輪どころか、16年のリオデジャネイロで金メダルでしょ」と強気だ。

 跳馬は2回目で得点が伸びずに上位8人の決勝(6日)進出は微妙だが、床運動(5日決勝)は金メダル候補に躍り出た。16点を超えながら自己採点は「80点」という17歳は「決勝で同じ演技が出たら、百点満点をつけていい」と自信を見せる。同種目で連覇を狙う内村は「健三は世界でも見ない構成をしている。金メダルを期待してます」と白旗モード。無限の可能性を秘めた“ひねり王子”が、一気に世界の頂点へ駆け上がる。

 ◆白井 健三(しらい・けんぞう)1996年(平8)8月24日、横浜市出身の17歳。体操クラブの指導者の両親、先に競技を始めていた兄2人の影響で3歳から体操を始める。中学3年時の11年全日本種目別選手権の床運動で2位に入って注目を浴びた。今年の世界選手権は男子史上最年少で代表入り。1メートル60、51キロ。

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