遠藤 史上最速 デビュー4場所で勝ち越し決定 次は最速三賞獲得だ

[ 2013年9月26日 06:00 ]

旭天鵬(左)を上手投げで破った遠藤

大相撲秋場所11日目

(9月25日 両国国技館)
 新入幕の遠藤(22=追手風部屋)が優勝経験もある平幕・旭天鵬(39=友綱部屋)を上手投げで破り、史上最速となるデビューから4場所目での勝ち越しを決めた。地元石川県から応援団が駆けつけた中で17歳年上の大先輩を圧倒した。

 半年前までは大学生だったが、もはや遠藤は“あまちゃん”ではない。他の若手力士が「あの人は強い」と恐れる対戦相手の旭天鵬は、昨年には幕内優勝も果たした同じ伊勢ケ浜一門の大先輩。並の新入社員であれば、心がひるんでもおかしくない状況だが「そんなことを意識してたら相撲なんて取れない」と平然と言ってのけ、土俵上では自らの能力をいかんなく発揮して勝利。「出来過ぎです。こんなに早く勝ち越せるとは思わなかった」。史上最速のデビュー4場所目での幕内勝ち越しを決めた22歳は淡々と勝ち名乗りを受けた。

 技術で圧倒した。いつもは朝の稽古中に作戦を立てるが、この日は「ギリギリまで悩んでいた」。

 最後の仕切りで決断した取り口は低い体勢で踏み込んで右前まわしを握ることだった。それがズバリ的中。作戦通りの右前まわし左差しの形をつくると、最後は「体を開くとそこそこ効いたので」と右からの豪快な上手投げで39歳をひっくり返した。

 2階席では地元・石川県鳳珠(ほうす)郡穴水町から駆けつけた後援会メンバー9人が5日目に続いて2度目の応援をした。黒星だった前回は「能登穴水の星 遠藤関」というボードを掲げたが「“星”という字が黒かったため、今回はそれを抜いて“能登穴水の遠藤関”にした」と後援会関係者。ボードの文字の順番を間違えるハプニングもあったが、熱意は土俵に届いた。館内の大歓声に遠藤も「誰しもが受けられるものではないので、ありがたいと思ってやっている」と感謝の言葉を述べた。

 残り4日。勝ち星を2桁に乗せれば、史上最速での三賞獲得も見えてくるが「仕組みが分からない。獲れると思っていない」と興味はない様子。「とりあえずあしたの一番に集中して、一つでも多くと思っている」と引き締めた。ざんばら髪にしこ名も本名というスピード出世の要素を備えるが、技術、精神力ともに既にプロの領域だった。

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