ママ中山が銀 世界選手権クレー女子トラップで過去最高順位

[ 2013年9月25日 06:00 ]

女子トラップで獲得した銀メダルを掲げ笑顔の中山由起枝(日本クレー射撃協会提供)

クレー射撃世界選手権

(9月23日 ペルー・リマ)
 ママは強し。女子トラップで08年北京五輪4位で昨夏のロンドン五輪代表の中山由起枝(34=日立建機)が銀メダルを獲得した。決勝でロンドン五輪金メダルのジェシカ・ロッシ(21=イタリア)に10―12で敗れたが、日本協会によると同種目で日本選手最高順位という。3年後のリオデジャネイロ五輪を集大成と位置づけるシングルマザーが進化を続ける。

 34歳の中山が世界の舞台で表彰台に上がった。五輪を含め初のメダルに「ようやく世界大会で好成績が残せた」と喜んだ。初めて経験する1対1の決勝では、五輪女王相手に終盤にミスが出て逆転を許した。「ロッシの若さと勢いに負けてしまったかな」と反省。それでも、2人だけに注目が集まる戦いに「スリリングで楽しかった」と新鮮さを口にした。

 今年から変更となった新方式にも動じなかった。競技行程は、予選の得点を決勝に持ち越す「予選―決勝」から得点を持ち越さない「予選―準決勝―決勝」になった。上位2人が決勝に進出する準決勝では、15点満点の11点で中山ら3人が2番手に並び、ミスした選手が脱落する競射となった。これまでにない緊張感を味わったが「ストイックな思いで食いついていった」と集中力を切らさず、生き残った。

 順風満帆な競技人生ではない。00年シドニー五輪は21歳で女子ダブルトラップに出場。メダルを期待されたが13位と惨敗し、01年に引退した。結婚して、長女・芽生(めい)ちゃんを授かったが、離婚の道を選びシングルマザーとなった。2年半のブランクを経て現役復帰すると、08年北京五輪4位、10年広州アジア大会優勝。だが、3度目の五輪だった12年ロンドン五輪は15位で予選落ちに終わっていた。

 役員人事をめぐる日本協会の内紛の影響で、今大会への参加が決まったのは7月。だが、ドタバタの中でも日本のエースとして存在感を示した。選手寿命の長い競技だけに20年東京五輪での活躍も期待されるが「まずはリオデジャネイロ五輪が自分の集大成。今から7年後のことは考えないようにしている」ときっぱり。4度目の五輪に向け、シングルマザーの戦いは続く。

 ◆中山 由起枝(なかやま・ゆきえ)1979年(昭54)3月7日、栃木県生まれの34歳。埼玉栄高出。中学、高校はソフトボールの選手として活躍。埼玉栄高では全国私立選抜大会で優勝。97年日立建機にダブルトラップの選手として入社。00年シドニー五輪は女子ダブルトラップで13位。08年北京五輪は女子トラップで4位。10年広州アジア大会優勝。12年ロンドン五輪は15位。1メートル61、52キロ。

 ▽クレー射撃 散弾銃を用いてクレーと呼ばれる素焼きの皿を打ち抜き、その合計点で競う。昨年のロンドン五輪ではトラップ、ダブルトラップ(男子のみ)、スキートが実施された。トラップは、横並びに配置された5カ所の射台を移動しながら、前方15メートルにある15台の放出機からランダムに発射されるクレーを撃破する。選手は1枚のクレーに対し、2発以内で撃破しなければならない。予選ではクレーを合計150個撃つ。予選の上位6人が準決勝に進出し、15個撃ちで1~6位を決定。決勝は同じく15個撃ちで争われる。

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2013年9月25日のニュース