稀勢 自力V消滅…体切れなし“重すぎる”2敗

[ 2013年9月24日 06:00 ]

千代大龍(右)に突き出しで敗れる稀勢の里

大相撲秋場所9日目

(9月23日 両国国技館)
 大関・稀勢の里が千代大龍に突き出されて2敗目を喫し、大関、横綱戦を前に自力優勝が消滅した。4連覇を狙う横綱・白鵬は豊響を難なく突き落とし、ただ一人9連勝。1敗がいなくなり、独走態勢に入った。横綱・日馬富士は関脇・妙義龍を押し出して2敗を守った。平幕の2敗は旭天鵬と豊真将の2人となった。

 何もできなかった。稀勢の里は千代大龍の突っ張りを胸で受けると、そのまま後退。左おっつけで押し返そうとしたが、相手の圧力をはね返すことはできず、なすすべなく右足が土俵を割った。

 上位との対戦を前に痛恨の2敗目。白鵬が全勝を守ったため、自力での優勝が消滅した。支度部屋で立ち合いについて聞かれると「うーん、まあ」、当たり負けかと問われると「そうでしょうね。集中してやるだけ」と意気消沈の様子で言葉少なだった。

 北の湖理事長(元横綱)は「立ち合いは悪くないが胸で受けたのが痛い。本人が受けられると思ってもずしんと来る」と突きへの対応が不十分だったことを指摘。「白鵬の独走状態に入った。もっとついていかないと」と渋い表情で話した。

 稀勢の里の父・貞彦さんは自己最重量の177キロの体重に苦言を呈した。「170キロの方が明らかにいい。170キロを超えているのは覚悟が足りない。あの体形であの相撲だから170キロがいい」と減量して体の切れを戻すことを提言。さらに「まだ精神力が(足りない)。来年が勝負。来年を過ぎると体力的にも精神的にもきつい。来年(横綱昇進が)ないならもうない」と厳しい言葉を投げかけた。

 大関、横綱戦がスタートする10日目は17勝27敗と苦手にしている琴奨菊が立ちはだかる。12勝なら綱獲りがつながる可能性もあった先場所は千秋楽で琴奨菊に敗れて11勝に終わった。因縁の相手との対戦を前に「あしたはあしたでやるだけ」と必死に前を向いた。自力優勝は消滅したが、まだ6日ある。白鵬が取りこぼせば再びチャンスは巡ってくるだけに、気持ちを切らさずに白星を重ねるしかない。今場所の終盤戦を盛り上げられるかどうかは、稀勢の里に懸かっていると言っても過言ではない。

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2013年9月24日のニュース