レスリング圧勝存続!沙保里「夢」は東京につながった!

[ 2013年9月9日 06:00 ]

2020年の五輪実施競技にレスリングが選ばれ喜ぶ吉田(中央)ら

 IOC総会第2日の8日(日本時間9日未明)、20年東京五輪で実施する残り1競技を決める投票が行われレスリングの採用が決まった。IOC委員95人の投票で過半数となる49票を獲得し、野球・ソフトボール、スカッシュを破った。2月のIOC理事会で中核25競技から外され、崖っ縁に追い込まれた伝統競技は、7カ月で次々と改革を達成。五輪3連覇中の吉田沙保里(30)、伊調馨(29=ともにALSOK)の夢も東京へとつながることになった。

 最後の1枠に滑り込んだのは、やはりレスリングだった。野球・ソフトボール、スカッシュとの争いはし烈を極めたが、1回目の投票で過半数を獲得し、20年五輪での実施が決定。1896年の第1回アテネ五輪から行われてきた伝統と、7カ月間で打ち出した改革が勝負を決めた。国内で待機し“その時”を待った吉田は「発表までドキドキしたけど、たくさんの方々の活動で残ることができた。ありがとうございます」と落ち着いた声で話した。

 レスリング界に衝撃が走ったのは今年2月。IOCの理事会で中核25競技から外された。IOCはロンドン五輪でのチケット売り上げやインターネットアクセス数など39項目を数値化。その総合評価で下位に低迷したことも一因とされた。理事たちのメンツを重んじれば、一度除外の決まった競技が即座に復活することは難しいとも予想されていた。しかし、国際レスリング連盟(FILA)は金メダル返上やハンガーストライキで抗議した歴代メダリストたちにも自粛を呼びかけ、ラロビッチ新会長が世界中を飛び回ってIOC委員の要求を細かくヒアリングした。その結果が試合時間の変更やルール改正の断行。女性委員会、選手委員会を発足させるなどFILAの組織改革も含め、助言に沿った手を次々に打った。

 吉田自身も5月末にはロシア・サンクトペテルブルクのIOC理事会会場でロビー活動に参加。「最初は不安もあったけど会場に行ってみたらレスリングに対する熱意を感じた」。3競技への絞り込みに生き残り、この日も「やれることはやった」とすがすがしい表情だった。伊調も「(五輪は)いつの間にか自分の夢になっていたし子供の夢でもあった。本当に良かった」と笑みを浮かべた。

 今後はグレコローマンと男子フリースタイル、女子を6階級ずつに統一する方向。女子は階級が増えることで強豪が分散され、2人のベテランの活躍の可能性もグッと高まる。「東京に五輪が来たら周囲に止められても出場する」と公約してきた吉田は37歳で迎える20年に向け「東京も決まったしレスリングも決まった。夢に向かって進むだけ」と気持ちを新たにしていた。

続きを表示

2013年9月9日のニュース