日本女子に暗雲…22年ぶりの金メダルゼロのピンチ

[ 2013年8月31日 06:00 ]

女子63キロ級敗者復活戦で敗れた田中美衣

世界柔道第4日

(8月29日 ブラジル・リオデジャネイロ=マラカナジーニョ・アリーナ)
 日本女子に暗雲が垂れ込めてきた。63キロ級では阿部香菜(25=三井住友海上)が3位決定戦、田中美衣(25=了徳寺学園職)も敗者復活戦で敗退。谷本歩実や上野順恵が活躍してきた同階級では10年ぶりにメダル獲得を逃した。開幕から3日連続金メダルに沸いた男子とは対照的に、女子はいまだ優勝者なし。30日に行われた第5日は70キロ級で五輪代表の田知本遥(23=ALSOK)が2回戦から登場もいきなり敗退。22年ぶりの金メダルゼロのピンチを迎えている。

 開幕前から決まっていたとはいえ、皮肉な巡り合わせだった。2人の代表を送り込んだ63キロ級。世界ランクで割り振られるシード順によって、準々決勝で日本人同士のつぶし合いとなった。

 日本人対決は阿部が序盤に大内刈りで技ありを奪って優勢勝ちを収めた。大会直前に右足首のじん帯を痛めた田中は敗戦のショックを引きずり、復活戦でもあっさり消えた。「情けない。気持ちを切り替えられなかった」と涙声。しかし、田中を破った阿部も準決勝でジェルビに屈した。足と柔道着の裾を使った想定外の絞め技にやむなくタップ。5月のマスターズ大会で下した相手の秘策に敗れ「向こうの作戦勝ち」とうなだれた。

 沈滞ムード漂う女子だが、今後も楽観できない。78キロ超級の田知本愛も、最後までこの状況が続けば大きな重圧がかかる。暴力指導問題などで始動が遅れたのは確かだが、南條充寿監督は「いろいろあったことを言い訳にしたくない。いろいろあったことがスタートだから」と答えた。女子が金メダルを獲れなかったのは91年バルセロナ大会までさかのぼる。22年ぶりの屈辱が刻一刻と迫っている。

続きを表示

この記事のフォト

2013年8月31日のニュース