桐生19年ぶり高校3冠 世界陸上へ弾み

[ 2013年8月3日 06:00 ]

男子100メートル、400メートルリレーに続き200メートルを制して3冠を達成し、声援に応える洛南・桐生

全国高校総合体育大会

(8月2日 大分銀行ドームほか)
 ワンダーボーイがまた勝った。陸上男子200メートル決勝が行われ、桐生祥秀(17=京都・洛南3年)が向かい風1・4メートルの中、20秒66の大会新記録で初優勝。100メートル、400メートルリレーと合わせての短距離3冠は、94年に高橋和裕(奈良・添上)が1600メートルリレーを含めた4種目を制覇して以来19年ぶり。疲労を抱えて故障寸前だったが、10日開幕の世界選手権(モスクワ)へ弾みをつけた。

 ライバルは他のスプリンターではなく、自分自身だった。桐生にとって、200メートル決勝が今大会9本目のレース。ゴール前、これまでにないほど失速した。前半のリードを守って短距離3冠を達成。20秒66は大会新記録だったが、自身が持つ高校記録(20秒41)には及ばなかった。「(足が)爆発しそうでしたぁ」。レースを終えた第一声に、苦しさが凝縮されていた。

 この日起床した時から肉体に違和感があった。6月にも3週連続で大会に出場したが、今大会は連日35度を超える猛暑の中でのレース。過去に感じたことのない疲労を抱え、スタートラインに立った。コーナーを抜けるまでは快調だったが、最後はバテバテに。「足が重くてバランスがおかしくなった。ゴールしてホッとして、(疲れが)ドッと出た」。両太腿裏はけいれん寸前だった。

 桐生が走らなかった1600メートルリレーで洛南は予選落ちし、桐生の高校総体は幕を閉じた。11年3月、彦根南中の卒業文集に「めざせ全国制覇」と書き込んだ少年は、これまで総体タイトルと無縁だったが、最終学年に94年の高橋和裕以来19年ぶり、史上4人目の短距離3冠を達成。「いい思い出になった」。100メートルの10秒19、200メートルの20秒66は、更新困難な大会記録として君臨するに違いない。

 短距離個人種目で史上初めて高校生代表として臨む世界選手権は、10日にモスクワで開幕。100メートル予選は大会初日だ。「お風呂に入って、ケアをして、ご飯を食べて、疲労抜きをやっていきたい。1本に集中できる状態をつくりたい」。日本人初の9秒台を目指して、さらに加速する。

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