全柔連 外部会長招へいの可能性、上村氏は8月中の辞任表明

[ 2013年7月31日 06:00 ]

全柔連の理事らと会見した上村会長(右から2人目)は深々と頭を下げる

 全日本柔道連盟(全柔連)が外部会長を招へいする可能性が出てきた。30日に東京都文京区の講道館で臨時評議員会が行われ、その前後に2度の臨時理事会も開かれた。最初の理事会では上村春樹会長(62)ら5人の執行部が8月中の辞任を表明。評議員会では全理事の即時解任決議が行われたが、全て否決された。一方で外部理事を務める橋本聖子参院議員(48)は2度目の理事会で理事総辞職を提案。全柔連内部では外部からの新会長を望む声も高まっており、改革に向けて組織が一新されることになる。

 相次ぐ不祥事にも居座り続けてきた上村会長がついに決断に追い込まれた。「改革を進めることが先決と思ってきたが、今回の決断はこれまでの不祥事を踏まえたもの。引責辞任と捉えてもらっていい」と神妙に語った。辞任時期は10月としていたが、内閣府による勧告が決定打となった。執行部の機能不全を指摘されるとともに内圧にもさらされ「8月中」の辞任表明に至った。2人の副会長と専務理事、事務局長の執行部も同時に身を引き「次の体制をある程度メドをつけた段階で」と来月に予定する臨時理事会を一区切りとする考えを示した。

 最初の理事会で辞任を表明した直後の評議員会での即時解任決議は否決されたが、その後の理事会では橋本理事が「これからの柔道界のため全ての理事が辞職すべきだ」と訴えた。6月就任の新理事を除く23人の総辞職(再任可能の条件つき)の提案で、橋本理事は「ご理解いただいたと認識した」と説明した。

 全柔連の中では外部からのリーダーを求める声が高まりつつある。今後は後任会長選びが焦点になり、8月1日の常務理事会から協議を開始する。評議員会では「次の会長は外部から来てもらうべき」との意見が多く、上村会長自身も後任について「次の百年の計をつくれる人にやってもらいたい。広くいろんな方が対象になる」と柔道界以外からの人材も視野に入れた。山下泰裕理事も「新理事以外は全ての理事が(8月に)辞任するという認識を持っている」と現理事会の責任を踏まえ、自らを新会長に推す声には「執行部や理事として現体制にいる人間がやるべきではない。外部から柔道を分かっている人を呼んだ方がいい」と就任を否定した。

 日本相撲協会も不祥事を連発していた10年に外部理事を理事長代行に据えたことがあった。柔道界の論理が破綻した今だからこそ、外部からのリーダー待望論が高まる。従来ならば会長は理事会の互選で決定する。しかし、理事が総辞職した場合は、明文化された規定がないために新たなルール作りが必要。橋本氏は外部有識者を含めた理事選考委員会の設置を検討するという。内閣府から出された改善勧告に対する回答期限は8月末。猛スピードでの組織改革と新体制構築の同時進行。先の見えない全柔連改革は、まだ端緒を開いたに過ぎない。

 ▼山口香強化委員 上村会長の辞任は遅きに失した感がある。最後の最後まで醜態をさらした。同じ柔道家として恥ずかしい限りだ。新しい会長はぜひ柔道界以外の人に来ていただきたい。柔道界は全面降伏し一刻も早く根本から立て直さなければならない。

 ▼谷亮子理事 内閣府の勧告にのっとった形で改革、改善に取り組んでいくとの意見は理事会で一致している。新しいトップには改革者になっていただきたい。

 ▼佐藤宣践副会長 今回の一連の問題は大きな罪だと受け止めている。内閣府からも厳しい勧告を受け、その通りだと思う。

 ▼藤田弘明副会長 上村会長と一緒ということ。国民の皆さんにご心配をお掛けしたことを深くおわびしたい。

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