白鵬“鬼門”突破できず…また稀勢に敗れ43連勝でストップ

[ 2013年7月21日 06:00 ]

<大相撲名古屋場所14日目>連勝がストップし、フッと息をはきながら支度部屋に戻ってきた白鵬

大相撲名古屋場所14日目

(7月20日 愛知県体育館)
 波乱を象徴する座布団が乱舞する中、土俵だまりに転げ落ちた白鵬は1回だけ首をひねり、ゆっくりと土俵に戻って一礼した。連勝を43で止められた相手は63連勝で阻止された3年前と同じ稀勢の里。初場所千秋楽の日馬富士戦以来174日ぶりの黒星に「いい夢見せてくれたんじゃない」。3年前は「これが負けか」と悔しさをにじませたが、今回はどこか達観した表情と言葉で分析した。

 「できれば最初に合わせてくれれば良かった」と大関の“じらし”にいら立ったのか、1度突っかけた。2度目の立ち合いは横綱の待ったで不成立。我を失った3度目、左を張って右のかち上げで攻めたが、圧力負けで劣勢となった。いなし、張り手で何とか右を差したが、いつもの冷静な心はなし。得意の右四つになっても上半身に力が入りすぎて棒立ちとなり、一方的に寄り倒された。

 夏場所後。土俵外の仕事が忙しく名古屋入りするまでほぼ稽古場に降りなかった。場所前には幕内上位力士と1度も胸を合わせられなかった。恐るべき調整能力と潜在能力で13日目に26度目の優勝は遂げたが、ここ数年の稽古不足のツケは終盤に表れ、11日目の鶴竜戦で右脇腹を負傷。12日の琴奨菊戦で「土俵に上がればなんてことないけど降りると違和感があった」。万全の状態で土俵を務めることはできなかった。

 江戸時代から平成まで40連勝以上を複数回達成したのは白鵬を含め4人だけだが、必ずひとつは43連勝で終わっている。「全てが悪かったんじゃないの。いい勉強になりました」。「3年先の稽古」という言葉がある。日頃の鍛錬を怠った現在の最強横綱は、大相撲の“鬼門”を突破することを許されなかった。

 ☆白鵬の63連勝ストップ 10年11月15日の九州場所2日目。当時、平幕だった稀勢の里に敗れ、同年初場所14日目からの連勝が史上2位の63で止まった。張って立った白鵬は右をのぞかせて土俵際まで押し込んだが、相手に張り手を食らって動揺。張り手を返したもののバランスを崩し、強引なすくい投げと苦し紛れの内掛けも通用せず、上手を引きつけられ寄り切られた。白鵬は「これが負けか」と嘆いた。

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2013年7月21日のニュース