白鵬 朝青超え外国出身最多の26度目優勝

[ 2013年7月20日 06:00 ]

<大相撲名古屋場所13日目>右脇腹をテーピングしながらも、琴欧洲を右手でくい止める白鵬

大相撲名古屋場所13日目

(7月19日 愛知県体育館)
 横綱・白鵬が大関・琴欧洲を寄り切って無傷の13連勝。唯一2敗だった碧山が敗れたため、3場所連続26度目の優勝が決まった。13日目の優勝は歴代トップの5度目。優勝回数は朝青龍を上回り単独3位で、外国出身としては最多となった。十両の遠藤以下、序ノ口までの全てで優勝が決定。千秋楽まで2日を残して13日目に6人の優勝者が決定するのは1場所15日制が定着した1949年以降で初の珍事となった。

 入門から13年目で初の体験だった。背中から右腹にかけて約10センチのテーピングが5枚。満身創痍(そうい)の状態で、白鵬は優勝を懸ける一番に臨んだ。「本当に早い相撲で勝負をつけたいと思っていた」。心掛けたことは負傷している右脇腹に負荷がかからないような戦法。立ち合いから左に回り込んで琴欧洲の右腕を手繰り、攻め続けた。一度は体が離れて引く場面もあったが再度右腕をつかんで左に1回転。最後は左上手を取って痛みに耐えながら寄り切った。土俵上ではぎゅっと目をつぶり、花道では脂汗を垂らしながら、苦悶(くもん)の表情を浮かべた。

 外国出身では朝青龍を超えて単独1位となる26度目の優勝、5度目の13日目Vも千代の富士を超えて最多。連勝は43まで伸びた。「全然問題ない。たいしたケガではない」。どんなに強がっても、今回ばかりは笑みを浮かべる余裕はなかった。

 11日目の鶴竜戦で小手投げを強引に打った際に右脇腹をひねって肉離れのような違和感を発症。宿舎に戻って即刻トレーナーにマッサージをしてもらったが、強い張りを感じた。さらに前日の琴奨菊戦の立ち合いで患部を打ち付けて痛みは倍増。病院に直行して痛み止めを摂取し、薬を塗りたくった。氷で冷やす荒療治も行い、この日の場所入り前には炭を塗る民間療法も試していた。

 13日目Vにこだわる理由があった。01年春の入門以来“アニキ”と慕ってきた同じモンゴル出身の元幕内・龍皇がこの日の三段目の相撲で引退した。2歳年上で誕生日は同じ3月11日。下積み時代には稽古中に2人で土俵を独占し、エキサイトしてケンカになることもあった。師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)も「龍皇がいなければ今の白鵬はいない」と言うほどの存在。取組後、白鵬は「最後の相撲の時に優勝を決められて良かったです。お疲れさまでした」と花束を渡した。

 残すは全勝優勝のみ。大鵬に並ぶ45連勝に向けて「精進していきたい」。63連勝を達成した3年前より円熟味を増した28歳は、双葉山の69連勝を再び目指し始めた。

 ▼北の湖理事長(元横綱) 白鵬が独走態勢に入った段階で(優勝は)間違いないと思っていた。朝青龍を超えたというよりも、30回を目標としているのは当然だ。大台を視野に入れているだろう。

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2013年7月20日のニュース