日馬3連敗、休場危機…横審・宮田委員「見ていられない」

[ 2013年7月17日 06:00 ]

4敗目を喫し、土俵に膝をつく日馬富士

大相撲名古屋場所10日目

(7月16日 愛知県体育館)
 横綱・日馬富士が関脇・豪栄道のすくい投げに屈して8日目から3連敗。横綱昇進後初の休場ピンチに追い込まれた。11日目からの大関戦を前に6勝4敗。古傷の両足首痛を懸念する横綱審議委員会の一部委員からも「休場勧告」が飛び出した。横綱・白鵬は妙義龍を小手投げで退け、昭和以降初となる個人2度目の40連勝を達成。大関・琴欧洲は旭天鵬を寄り切り、平幕・魁聖とともに1敗を守った。

 3連敗を喫し、ぼう然とひざまずく日馬富士の目に追い打ちをかけるような光景が飛び込んできた。横綱が負けたというのに、舞う座布団は、わずか4、5枚。ひと呼吸おいて2、3枚が申し訳なさそうに土俵に飛んできた。ファンも波乱とは認めない現実に、失意の横綱は視線を下げたまま。支度部屋で髪を整えて立ち上がる際にはバランスを崩し「これだけ負けると力も入らない」。その姿は哀れとしか言いようがなかった。

 相手は今場所、既に7敗を喫している豪栄道。だが、完全に立ち遅れて右を差されて後退した。土俵際で左上手を奪ったものの上体は起こされ、すくい投げで叩きつけられた。「相手の流れになっちゃいましたね。情けない。これだけ負けると申し訳ない」。関脇以下に3連敗は昨年夏場所の白鵬以来。白鵬はその後5連勝したが、日馬富士の状況は深刻だ。

 過去2年優勝と験のいい場所にもかかわらず6勝4敗。一気に休場ピンチに陥った。横審の宮田亮平委員(東京芸大学長)は「かわいそうで見ていられない。今場所は休場ですね」と酷評。場所後(22日)の会合に師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)を呼びつけるべきとの意向を示し、「足首のケガで本来の相撲を取れていない。来場所以降は休場してちゃんと治してもらった方がいい」と述べた。場所前には内山斉委員長(読売新聞グループ本社顧問)が「13勝以上はしてもらいたい。成績次第では激励する可能性はある」と言及。会合で非難の声が集中するのは必至だ。

 途中休場について、師匠は「ちょっと負けたぐらいで休場はない」と語るが、日馬富士は「何とも言えない」と明言を避けた。前夜には験直しとして名古屋市内の飲食店に出掛け、この日の朝稽古を休んだ。帰り際には、一般女性からの写真撮影に応じると「美人でも抱いて力を出そうか」と笑うに笑えないギャグを発して車に乗り込んだ。もはや、心も体も横綱の仕事を全うできる状態ではない。

 ▼北の湖理事長(元横綱) 日馬富士は立ち合いで当たっているけど、まわしの取り方が深すぎる。取った瞬間に頭をつける相撲になってない。4敗でしょう…。これから上位との対戦なので、苦しい相撲を取らないといけない。出る以上は最後まで勝ち進んでいかないと。

 ▽最近の横綱の休場 08年秋場所の朝青龍は、場所前から痛めた左肘の影響で9日目で5勝4敗。武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)の休場勧告を受け、10日目から休場した。翌11月の九州場所も全休。白鵬は07年名古屋場所の昇進後は、一度も休んでいない。

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2013年7月17日のニュース