白鵬、薄氷32連勝 過去3戦全勝の高安に大苦戦28秒

[ 2013年7月9日 06:00 ]

寄り倒しで高安を下した白鵬(手前)

大相撲名古屋場所2日目

(7月8日 愛知県体育館)
 3場所連続全勝優勝を目指す横綱・白鵬(28=宮城野部屋)が幕内・高安(23=鳴戸部屋)に大苦戦。何度も巻き替えを許すなど、28秒もの時間を要して寄り倒した。春場所初日からの連勝を32に伸ばしたものの、連日の猛暑もこたえているようで、今後に暗雲が立ち込めた。綱獲りに挑む大関・稀勢の里(27=鳴戸部屋)ら上位は安泰だった。

 らしからぬ苦戦に、白鵬は納得がいかなかった。相手は先場所優勝を争った稀勢の里の弟弟子、高安。それも気に入らなかった。鳴戸部屋の刺客に何度も苦しめられ、最後は自身も崩れるように前のめりになった。辛うじて春場所から続く連勝を「32」に伸ばしたが、取組後に思わず舌を出して渋い表情を見せた。

 立ち合いすぐに右を差し、左上手を奪取する必勝パターン。しかし、「立った瞬間、右が入ったので安心感があった」と白鵬は述懐。この慢心が苦戦を招いた。最初の寄りで決められず、簡単に巻き替えられた。この形は先場所14日目、稀勢の里との全勝対決で土俵際まで追い込まれた左四つ。いやなイメージが脳裏をよぎった。投げで崩して再度右四つに持ち込んだが、またしても巻き替えられ、もろ差しを許した。素早く巻き替え返して強引な左下手投げで窮地を脱し、がむしゃらに寄り倒した。過去3戦全勝で、全て10秒以内で退けた相手に28秒も費やす大苦戦。北の湖理事長(元横綱)も「右四つで一気に行くと思ったけどね」と首をかしげる薄氷の勝利だ。

 異変の理由はあった。勝ち残りの土俵下では珍しく水を口に含み、支度部屋でも「とにかく暑い」といら立った表情を見せた。普段なら支度部屋では栄養ゼリーと水を補給。ところが、この日は熱中症対策として用意したドリンクをがぶ飲みした。この日の朝稽古では「(場所前に)実力者との稽古を望んでいた」と吐露。出稽古先では、お目当ての力士がケガなどで相手ができない誤算も続き、沈着冷静な男が弱音を吐くなど追い込まれている。

 最後には、善戦した高安を「力がついてきた」と称賛。その表情に笑顔がなかったのは、今後を暗示しているかのようだった。

続きを表示

2013年7月9日のニュース